刀剣ファン必見!大阪城は刀剣展示の穴場スポット!?(大阪市中央区)

戦国時代に起きた幾多の合戦の中でも、天下の趨勢(すうせい)を巡り、華々しい決戦を彩る舞台となったのが大阪城。そんな大阪城は現在、年間100万人以上が訪れる関西でも屈指の観光名所となっています。天守閣の8階にある展望台が外すことのできない人気観光スポットであるのはもちろんのことですが、3~4階にある展示室も、刀剣ファンにとって見逃せない場所となっているのはご存知でしょうか。今回は過去に大阪城で展示されたことのある刀剣や、特別展示イベントにフォーカスして、刀剣ファンを魅了する大阪城天守閣の醍醐味をご紹介していきます。

大阪城ってどんな刀剣を収蔵しているの?

大阪城天守閣には、実に数多くの刀剣がコレクションとして収蔵されています。その種類も、刀、短刀脇差薙刀など多岐に亘り様々。

それらすべてが常に展示されているわけではないのですが、大阪城では2ヵ月毎に常設展示の品が入れ替わっていますので、いつか目にする機会が訪れるかもしれません。

ここでは大阪城天守閣の収蔵品の中でも、刀剣ファンに向けて厳選したいくつかの名刀を紹介していきたいと思います。

刀 銘(表)摂州住和泉守藤原国貞(裏)慶安三年二月 日

まずは大阪城らしく、お膝元である大坂に縁の深い日本刀(刀剣)をご紹介しましょう。

「刀 銘(表)摂州住和泉守藤原国貞(裏)慶安三年二月 日」の作者、和泉守国貞は「大坂新刀」と呼ばれる流派の礎となった名工のひとり。まず「新刀」とはどのような日本刀(刀剣)なのかを説明すると、1596年(慶長元年)から1764年(明和元年)までの間に作られた日本刀(刀剣)のことを指しています。

慶長以後の時代に作られた日本刀(刀剣)は、それまでの日本刀(刀剣)「古刀」と比べ、明らかな技術革新や材質の変化が起こっているため、この時代以降に作られた日本刀(刀剣)は、新刀として区別されました。

なかでも大坂を中心として栄えた流派があり、そこから産み出された日本刀(刀剣)が大坂新刀と呼ばれることとなったのです。

そして和泉守国貞は、大坂新刀の中では創始者、また巨匠として位置付けられる人物。生まれは1589年(天正17年)、日向国飫肥地方ですが、上京して新刀の祖と言われる堀川国広に師事し、その刀法を学びました。その後、大阪の地に移住し作刀に打ち込んだため、大坂新刀の基礎を築いた名匠です。

息子の井上真改も、「大坂正宗」と呼ばれるほどの技量を誇り、後世にも大きな影響を及ぼしています。

刀 銘(表)津田近江守助直(裏)天和二年八月 日 江州高木

「刀 銘(表)津田近江守助直(裏)天和二年八月 日 江州高木」も、大坂新刀の名工のひとりとされている津田近江守助直の作。津田近江守助直は1612年(寛永6年)、近江国高木の生まれとされています。師は、濤瀾(とうらん)乱れという、華やかな刃文を創りだしたことで有名な津田越前守助広

津田近江守助直は、娘婿としてその作刀技術を余すことなく学びとったと伝えられています。師風を受け継ぎ、濤瀾乱れによる匂口の冴えた明るさが特徴的であること、また、その師・津田越前守助広に迫る傑作を産み出したことから、名工としての評価を受けることとなりました。

この他にも、大阪城天守閣の収蔵品は沢山あります。美濃にルーツを持つ三品系の「刀 銘 相模国国維」や、薩摩でその技法が受け継がれた「波平派」の「刀 銘 波平行安」。井上真改、津田助広と共に、元禄大坂の三英傑として並び賞された二代目近江守忠綱作「刀 (表)粟田口一竿子忠綱(裏)彫物同作」などです。

また刀だけでなく、太刀や槍、薙刀などの刀剣類も収蔵されていますので、それらの収蔵品といつか巡り会うことを楽しみに、大阪城の展示会を訪れてみるのも良いのではないでしょうか。

実際に展示された刀剣をチェックしてみよう!

大阪城では常設展示の他に、テーマを設けた特別展示イベントが開催されています。そういった常設展、特別展では、大阪城天守閣の収蔵品はもちろん、各テーマに沿った選りすぐりの品々が、全国より集められ展示されているのです。

刀剣もまた例外ではなく、そのような機会がないと普段目にすることができない貴重な刀剣に出会えることもあります。ここでは実際に、過去に行なわれてきた特別展と、そこで展示された刀剣の数々を詳しく観ていくことにしましょう。

展示会「豊臣家が創った桃山文化」/刀 銘 吉廣作 和泉国(附拵)

織田信長没後の安土時代を経て、豊臣秀吉政権の下、煌びやかに花開いたのが桃山文化です。その絢爛とした壮大さが人々の目を惹き、見る人の心を浮き立たせるような、華やかな文物に彩られた時代であったことで知られています。

そういった華美な装飾が好まれた桃山文化の産物から、展示品として選ばれた刀剣が「刀 銘 吉廣作 和泉国(附拵)」。刀自体からも刀工の持つ相当な技量が窺えますが、なんと言っても特筆すべきはの豪華さです。

鞘全体に眩いばかりの金箔を施したその姿は、まさに桃山文化をテーマとした展示にふさわしい逸品となっています。

刀 銘 吉廣作 和泉国(附拵)

刀 銘 吉廣作 和泉国(附拵)

開催期間
2013年(平成25年)11月26日~2014年(平成26年)1月22日

展示会「大坂の陣への道」/刀 銘 藤島(伝長束正家所用)

大阪城史上、最大のドラマとなったのが「大坂冬の陣・夏の陣」。冬と夏、2度の戦いを経て、豊臣家は滅亡へと進んでゆくのですが、そこに至るまでの過程をテーマとした展示イベントです。

この展示において披露された刀剣が、「刀 銘 藤島(伝長束正家所用)」。高い算術能力を評価され、豊臣政権下で能吏として衆知されていた長束正家の佩刀となります。

豊臣秀吉の死後、豊臣家「五奉行」のひとりとして大きな役割を果たしていた長束正家でしたが、「関ヶ原の戦い」で西軍に与したことにより敗北を喫し、自刃。

この合戦で多くの有力な武将を失った豊臣家は、滅亡の道を歩むことを余儀なくされました。

刀 銘 藤島(伝長束正家所用)

刀 銘 藤島(伝長束正家所用)

開催期間
2013年(平成25年)11月27日~2014年(平成26年)1月23日

展示会「浪人たちの大坂の陣」/刀 銘 生過タリヤ廿五 都筑氏 寛文八年申五月吉日

豊臣家と徳川家が、天下の旗幟を鮮明にするために会し、激しい戦乱へと至った「大坂夏の陣」。

この戦いにおいて豊臣軍の主力を形成したのが、全国各地から集まった浪人達でした。主家を失い行き場を無くした、無名の彼らの生き様はどのようなものだったのでしょう。

この特別展では「刀 銘 生過タリヤ廿五 都筑氏 寛文八年申五月吉日」という変わった銘の日本刀(刀剣)が展示されました。ここに刻まれた「生き過ぎてしまったのだろうか」という諦観にも似た問い掛けは、当時の刹那的な時代感を物語っていると言えるでしょう。

刀 銘 生過タリヤ廿五 都筑氏 寛文八年申五月吉日は、愛知県名古屋市にある熱田神宮所蔵の日本刀(刀剣)です。

刀 銘 生過タリヤ廿五 都筑氏 寛文八年申五月吉日

刀 銘 生過タリヤ廿五 都筑氏 寛文八年申五月吉日

開催期間
2014年(平成26年)10月11日~2014年(平成26年)11月24日

展示会「夏の展示 豊臣から徳川へと…」/名物 大江 月山貞利復元

天下が豊臣から徳川へと目まぐるしく移り変わっていった時代、そのような体制の転換期をテーマとした特別展示が開催されました。この特別展で展示された日本刀(刀剣)が「名物 大江 月山貞利復元」です。

天下を掌中に収めた武将として、大坂城に君臨することとなった豊臣秀吉の愛刀。こちらの日本刀(刀剣)は大坂夏の陣で焼失していたため、当時の資料や記録をもとに再現する試みによって今の時代に甦った刀剣です。

現代における名刀匠と位置付けられ、「無鑑査」、「奈良県無形文化財保持者」の認定を受けた月山貞利氏による秀麗な復元品となります。

南北朝時代の名匠であった郷義弘の作の中でも傑出の1振であったと伝わる名刀を、現代でも目にすることができる貴重な機会となりました。

名物 大江 月山貞利復元

名物 大江 月山貞利復元

開催期間
2017年(平成29年)7月22日~2017年(平成29年)10月4日

展示会「サムライたちの躍動 ―大阪城天守閣名品セレクション―」/短刀 銘 吉光 など

大阪で初めて開催されたサミットを機に、日本の武家文化の深奥を世界に向けて発信しようと企画された展示会です。

「重要文化財 大坂夏の陣図屏風」を筆頭に、16世紀から17世紀にかけての史料を中心として、貴重な収蔵品の数々が一般に公開されました。

そしてテーマである「サムライたちの躍動」を表現するために、サムライが実際に身に付けた武具や馬具などを展示。刀剣類も数振が展示され、大阪城天守閣が収蔵する「大身槍 銘 延次」や刀 銘(表)津田近江守助直(裏)天和二年八月 日 江州高木などを鑑賞することができました。

なかでも「短刀 銘 吉光」は、鎌倉時代の名作として重要文化財にも指定されている逸品。天下三作のひとりとして知られる粟田口吉光の作で、地刃共に吉光の特徴が表れた、典雅で格調高い名短刀です。

短刀 銘 吉光

短刀 銘 吉光

開催期間
2019年(令和元年)5月22日~2019年(令和元年)7月17日

まとめ

さて、大阪城と刀剣のかかわりはいかがでしたでしょうか。刀剣ファンなら見逃せない、刀工達による珠玉の名品の数々が所蔵されていることがお分かり頂けたと思います。

大阪城は城が培ってきた歴史の重みを体感できる場所。それだけでなく、刀剣が好きな方にとっては、展示された刀剣に纏わる歴史的な背景を楽しむことができる場所でもあります。

刀剣ファンの方は、ぜひ大阪城天守閣の企画展示に足を運んでみて下さい。