61_歌川国芳 作「太平記英勇伝 尼中鹿之助幸盛」2

刀剣・日本刀を中心に様々な「歴史」に関する情報を発信する「刀剣ワールド」に、満を持して「合戦浮世絵」と「武将浮世絵」が公開されました!
迫力のある合戦図や武将の勇ましい立ち姿の浮世絵など、色鮮やかに描かれています。
刀剣ワールドの「浮世絵[武者絵](合戦浮世絵/侍・武将浮世絵)」では、喜多川歌麿や歌川国芳、月岡芳年といった有名な浮世絵師達が描いた「合戦浮世絵」「武将浮世絵」を掲載中。「合戦浮世絵」や「武将浮世絵」を解説文付きで随時更新しています。

日本を代表する浮世絵師の「合戦浮世絵」や「武将浮世絵」を一挙公開!

流行の兆しを見せる浮世絵の世界

近年、若い女性を中心に歴史ブームが起こっていますが、今後注目を集めると期待される日本文化の中には、「浮世絵」も含まれています。浮世絵と言えば、「葛飾北斎」の風景画「富嶽三十六景」(ふがくさんじゅうろっけい)や、「喜多川歌麿」(きたがわうたまろ)の「美人画」などが思い浮かぶかもしれません。

実は、浮世絵の題材は様々あるのです。風景画や美人画の他、歌舞伎役者のブロマイドとも言うべき「役者絵」、歌舞伎の芝居風景を描いた「芝居絵」、花や鳥などを題材にした「花鳥画」、うさぎやかえるなどの動物を面白おかしく描いた「戯画」など、題材によって名称が事細かに分かれており、その数はなんと100種を超えます

なかでも、戦国武将や明治維新の立役者を描いた浮世絵は、精悍な顔立ちと勇壮な立ち姿といういわゆる「イケメン」に描かれることが多いため、歴史好きな女性「歴女」の間でも密かに人気がある分野となっており、昨今の刀剣・日本刀をはじめとした擬人化やイケメン化ブームの流れは、今後浮世絵にも派生することが期待されているのです。

葛飾北斎
江戸時代を代表する浮世絵師「葛飾北斎」。世界でも高い評価を受けている葛飾北斎に関するエピソードをまとめています。

絵図内の名称が別名である理由は?

ところで、合戦や武将を描いた浮世絵を観ていると「これは誰?」、「この合戦はどこの戦い?」と疑問に思うことが多々あります。それは、絵に記載されている人物名や合戦名に見覚えがないためです。解説を見ることではじめて「あの武将だったのか!」と気付くこともしばしばあり、事情を知らない人であれば「どうして名前を変更しているのか」と不思議に思うかもしれません。

江戸時代、浮世絵は庶民の娯楽のひとつとして爆発的に流行し、多くの浮世絵師が美人画や「武者絵」などの人物画を生み出しました。しかし、一世を風靡した空前の浮世絵ブームは、ある時からその様相が変化します。

江戸時代の三大改革「享保の改革」、「寛政の改革」、「天保の改革」により倹約令、及び風紀粛清、そして「出版物は幕府の許可を得ないと出してはダメ」という幕府検閲により、浮世絵の出版も厳しく制限されてしまったのです。

具体的には、遊女や歌舞伎役者などを主役にした美人画の他、天正年間(1573~1592年)以降の大名家や徳川家を題材にした浮世絵を出版することが禁じられて、違反をすれば厳しい処罰が待っています。しかし、浮世絵師達はそのような状況でも、表現の仕方に工夫を凝らして世に浮世絵を残しました

その方法が、浮世絵に登場する人物や合戦の名称をデタラメに描くこと。

例えば、「歌川貞秀」(うたがわさだひで)の「真田昌幸・賤ヶ岳七本槍」(さなだまさゆき ・しずがたけしちほんやり)という浮世絵では、「豊臣秀吉」のことを「羽柴久吉」、「真田昌幸」のことを「佐名田昌幸」、「加藤清正」のことを「佐藤正清」と名称を変えているのです。

一見すると「誰?」となってしまいそうですが、よく観ると豊臣秀吉が持っている軍配には豊臣家の家紋「太閤桐」(たいこうぎり)が描かれているなど、特徴を付けることで特定が可能となっています。

61_歌川貞秀 作「真田昌幸・賤ヶ岳七本槍」

歌川貞秀 作「真田昌幸・賤ヶ岳七本槍」

幕府の目をかいくぐって世に送り出された浮世絵は、民衆からさらなる人気を集めることになり、後述する「歌川国芳」(うたがわくによし)に至っては、あまりの人気ぶりに幕府から要注意人物として目を付けられるほどでした。

稀代の天才浮世絵師・歌川国芳

歌川国芳は、1798年(寛政9年)に生まれた江戸時代末期を代表する浮世絵師のひとり。

幼少期から絵を学び、「水滸伝」(すいこでん)を題材にした「通俗水滸伝豪傑百八人」(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにん)という錦絵が出世作となり、「武者絵の国芳」と称されるようになります。

61_歌川国芳 作「武田上杉川中島大合戦」

歌川国芳 作「武田上杉川中島大合戦」

最後の浮世絵師・月岡芳年

月岡芳年」(つきおかよしとし)は、幕末期から明治時代前期に活躍した浮世絵師。その画風は自由で、確かなデッサン力や豊かな想像力を存分に発揮して、近代的な浮世絵を多数生み出しています

歌川国芳を師として仰ぎながらも、浮世絵以外の画風を習得するために研鑽(けんさん:深く極める)したことから「漫画や劇画における先駆者」と呼ばれており、文豪「芥川龍之介」や「三島由紀夫」、「江戸川乱歩」なども月岡芳年のファンでした。

61_月岡芳年 作「太平記小牧山大合戦」

月岡芳年 作「太平記小牧山大合戦」

「刀剣ワールド」では貴重な「合戦浮世絵」「武将浮世絵」を多数公開!

ところで、インターネット上において様々な浮世絵師の浮世絵を一度に閲覧できる機会は、実は多くないことをご存知でしょうか。それと言うのも、所蔵していない作品の画像をインターネット上に掲載する場合、所蔵や管理している個人/施設に対して掲載許可を得る必要があるからです。

刀剣ワールド内の「浮世絵[武者絵](合戦浮世絵/侍・武将浮世絵)」に掲載されている画像は、いずれも刀剣ワールドが所蔵している浮世絵なので、一挙に閲覧することが可能!これは非常に貴重で贅沢なことなのです。

そして浮世絵[武者絵](合戦浮世絵/侍・武将浮世絵)では、美人画の名手・喜多川歌麿の他、武者絵や美人画、相撲絵等どのような題材も得意とした「歌川芳虎」(うたがわよしとら)をはじめとして、錚々たる浮世絵師の作品を多数公開!

イケメンに描かれた武将や、迫力ある合戦図など、作者ごとに異なる特徴と魅力を持つ浮世絵の世界に触れることで、「推し」の浮世絵師を見付けられるかもしれません。

若い世代からも注目されつつある浮世絵

西洋の画家に影響を与えた日本の浮世絵

写真が一般的ではなかった時代に民衆から愛された浮世絵は、日本だけではなく海外でも高く評価されました。

「フィンセント・ファン・ゴッホ」や、「クロード・モネ」、「エドゥアール・マネ」などの高名な画家は、浮世絵をはじめとした日本美術により大きな影響を受けたと言われています。

19世紀にヨーロッパで広く流行した日本文化のブーム「ジャポニスム」により、西洋諸国は日本の独特の文化に多く触れることになりました。特に絵画の分野においては、大きな衝撃を与えたと言われています。

西洋の絵と言えば、現実に即した着色や構図で立体的に描かれるのが特徴です。一方で日本の浮世絵は、輪郭や彩色がはっきりとしていて、見る人の目を引く華やかさがあり、印象としてはいわゆる「コミック」(漫画)的な表現となっています。

そうした日本独特の手法で描かれた絵に刺激を受けた西洋の画家は、絵の人物に「うちわ」を持たせたり、絵の背景に浮世絵を入れたり、また彩色に関してもより鮮やかな色を取り入れるなど、ジャポニスム以降の作品は多彩になりました。

そして、「ネット時代」と言われる現代、浮世絵独特の絵柄や色彩が再評価されてきています。SNSで気軽に作品や個人の意見が発信できるようになったことで、年若い芸術家や絵師が浮世絵を意識した作品を発表すると、その投稿は瞬く間に話題となり、いわゆる「バズる」ことが多々あるのです。

特に若い世代には「鳥獣戯画」が大人気で、時事的な問題を鳥獣戯画として書き表す「風刺画」などは、一夜で数万の「いいね」が付くほど注目されます。

「浮世絵はなんだか難しそう」と言う声がたびたび聞かれますが、江戸時代に庶民の娯楽として浸透していたことを考えれば、それほど難しく考える必要のない芸術作品であると言えるのです。

「風景」と「明治」の浮世絵も公開予定!

現在、刀剣ワールド内の「浮世絵[武者絵](合戦浮世絵/侍・武将浮世絵)」コンテンツでは、「合戦浮世絵」と「武将浮世絵」の浮世絵を中心に掲載しています。今後は「明治天皇」を題材にした「明治天皇浮世絵」と、東海道の名所や宿場町などの風景を題材にした「東海道五十三次浮世絵」も掲載予定!

貴重な浮世絵コレクションをこの機会にぜひご覧下さい!

浮世絵[武者絵](合戦浮世絵/侍・武将浮世絵)
一般財団法人 刀剣ワールド財団(東建コーポレーション)にて保有の「合戦浮世絵」「武将浮世絵」を解説や写真にてご紹介。
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