日本刀由来のことわざ
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「ことわざ」と聞くと、「何だか難しそうだな」と思う方が多いかもしれません。しかし、実際には無意識のうちに、私達はことわざを使っています。私達が普段何気なく話している言葉の中にも、日本刀が「隠れている」のです。
ここでは、架空の学生の会話を題材として、その中で使われている日本刀由来のことわざをご紹介。その成り立ちや由来、意味について掘り下げます。最後には、日本刀由来のことわざを学ぶための情報もご用意しておりますので、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
ある学生の会話

「今日の試験では、とんちんかんなことを書いてしまったよ。やっぱり付け焼き刃では、学生同士が鎬を削っている試験で合格するのは厳しいな。丸腰で試験に臨んでしまったのだから、身から出た錆かな…」
ある資格試験の終了後、帰路についた学生の中から、こんな声が聞こえてきたと仮定しましょう。沈んだ感じの声から、試験の出来が芳しくなかったことが伺えます。
前述した会話を意訳すると「今日の試験は間抜けな答案を書いてしまった。競争が激しい試験では、その場しのぎで覚えた知識では合格が難しいな。しっかりと準備しないで試験を受けた自分が悪いのだけど…」といったところでしょうか。
いずれにしても、この学生は、あまり勉強しないまま試験を受けた結果、厳しい洗礼を受けてしまったようです。
実際の会話では、こんな面倒くさい言い回しはしないよ!というツッコミは一旦、脇に置いておくとして(笑)。この会話の中では、「とんちんかん」、「付け焼き刃」(つけやきば)、「鎬を削る」(しのぎをけずる)、「丸腰」、「身から出た錆」という5つの日本刀由来のことわざが使われています。
お読み頂いて御気付きかと思いますが、ほぼ日本刀由来のことわざを使ったとしても、意味の通る会話になってしまうのです。それほど、日本刀由来のことわざは日常会話に溶け込んでいるとも言えます。
会話の中の日本刀
とんちんかん

相槌
とんちんかんとは、物事のつじつまが合わなかったり、ちぐはぐになったりしてしまうという意味です。
元々は、刀匠が鉄を鍛えるために槌を打ったあと、弟子が相槌を入れるための槌を打つ音が、ずれて響く様子を擬音化した言葉だったと言われています。
この音が揃っていないことから転じて、ちぐはぐな様子を意味するようになりました。さらには間抜けなことを表す言葉となったのです。
付け焼き刃
鎬を削る

鎬を削る
鎬を削るとは、激しく争うことを意味する言葉です。
「鎬」(しのぎ)は、刃と棟の間の山状に高くなっている筋のこと。この筋が削れてしまうほど激しく日本刀を合わせて戦う様を表すようになりました。
これが転じて、日本刀を使用した戦い以外であっても、激しい戦いが繰り広げられていることの例えとしても使われるようになったのです。
丸腰
丸腰とは、武器を持たない状態であることを示す言葉です。
元々は、武士が通常、腰に帯びているはずの日本刀を帯びていない様子を表していました。「武士の魂」とも言われていた日本刀は、武士の象徴であったのと同時に、いざというときに使用する武器。
これが転じて、相手に対抗するための武器を持たないことを意味するようになったのです。この場合の武器は、人を殺傷するためのいわゆる「武器」に限らず、情報や知識など、相手に対する対抗手段も含まれています。
身から出た錆
日本刀由来のことわざを学ぶ
ここまでお読み頂いた皆様の中には、「日本刀由来のことわざがたくさんあるのは、よく分かった。でも、今からいろいろと調べたり、一から学習したりするのは面倒くさいなあ…」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方におススメなのが、「刀剣ワールド」内にある「刀剣ことわざ集」。日本刀にまつわることわざを50音順にイラスト付きでまとめたコーナーで、ちょっと調べたいなというときや、隙間時間に読んで頂くのにピッタリです。
また、もっと気楽に学びたいという方のため、刀剣ワールドでは、漫画を読みながら学べてしまうコーナーもご用意しています。それが、刀剣マンガ「刀剣ことわざ4コマ漫画」。
毎月、第1週と第3週に更新されているこのコーナーでは、4コマ漫画を通じて日本刀由来のことわざの意味と成り立ちを分かりやすく解説。楽しんでいるうちに、ことわざの知識まで習得できてしまうという、まさに「一粒で二度おいしい」コーナーです。
今回、この刀剣ブログを読んで頂いたのも何かの縁。これを機に、日本刀由来のことわざについての学習を始めてみませんか?刀剣ワールドは、皆さまの日本刀についての学びを応援しています!
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- 刀剣ワールド 刀剣マンガ(刀剣ことわざ4コマ漫画) 刀剣ことわざ集
コメント
コメント一覧 (78)
由来とか考えたことなかったな
しのぎをけずるって、なんとなく使ってたからなー
付け焼き刃・・
よく言われる
語源が知れると面白い!
おもしろい!もっと記事書いてほしい!
「見当をつける」
見当は浮世絵用語だそうです。
ことわざかどうかは知らないけど、色刷りをするときに目印をつけることを言うらしいです。
とんちんかんが刀鍛冶から来ているとは想像してなかった
これからも日本語として残って行きそうなものばかりだね
「とんちんかん」は、鍛冶屋のずれた音という説が一般的に広まっているけど、実は鍛冶屋とは別という説もあって、とん、ちん、かんがそれぞれ言葉を指しているという人も!とんは「とんま」、つまり間抜けな人で、「かん」を漢、男性という意味合い、間の「ちん」は語感をそろえるために入れられたという説みたい・・・。
と、よく聞く刀のことわざといえば、「付け焼刃」って言葉もあるけど、実は見た目は良い刀であっても、使うとなると役に立たない刀という意味もあったり・・・。ただ、一般的には自分の身につけるためには普段からしっかりと勉強や訓練などを繰り返すのが大切!というのが知られているかも?
他の刀が付くことわざでは、物事をわかりやすく簡潔に伝えるという意味の「単刀直入」もありますね。単刀、つまり刀を1本だけ持って敵陣に攻めていくという姿を現したことわざで「短刀」の方をイメージしがちだけど、1本の刀なので短いの「短」ではなく単体の「単」という漢字なんですね。使われるようになった最初のきっかけは、「景徳伝灯録」。その中に「若也単刀趣入」で始まる一文があって、単刀をもって行けばたとえ一般の人であっても聖人と呼ばれるような人物でもその本性が現れて、すぐに仏になってしまうという文章が書かれているみたいなんです。
この文面から派生して、1本の刀で入っていくという意味合いで、「完結に話す」際に使われるようになったとのこと。
最後に余談ですが、「折り紙付き」ということわざも実は刀が由来・・・。豊臣秀吉が所有する日本刀を、代々刀の研磨をおこなう本阿弥家に依頼した際に切れ味が良い刀や見た目が優れている刀に本阿弥家の鑑定書が発行されてて、その鑑定書が「折り紙」だそう。ここから「折り紙」は、信用や評判を保証するものとなったんですね!!!
しかも未だに現役だからすごいわ・・・。
刀に関する"ことわざ"が見たい時は
ここに網羅されているので便利ですね。
リズムのおかしい槌を打つ音なんですね。
コミカルで楽しげな感じが伝わってきます。
こういう記事はすごくためになる
ぜひ今後も続けてほしい。
刀が珍しくなった時代にこんなに刀由来のことわざが使われている所に刀の偉大さを感じますね
ちょっと4コマの方暇つぶしにでも見てみようかな...
初めて知りました!
と思いましたが、組み合わせるほどことわざがあるのはすごいですがね
キャラかわいいし、楽しめました!。
刀が生活に根付いていたんだねー。
勉強になります。
何も考えずに使ってたわ
含まれているなんて不思議な気がしますね。
ちなみに切羽って刀の鍔を挟み込んで柄に固定するための金具だそうな。
学生時代のあるあるでした。
日常的に使う単語にまで深く浸透していることに驚きます
刀っぽい言葉だなぁとは思ってたけど。勉強になる!
「折紙つき」の折紙って刀の鑑定書のことなんだ。
知らなかった。。
知らなかったなあ。
知らなかったな。
きっと「一刀両断」も日本刀由来の言葉なんだろうな
こんなにも日常的に使われているんですね。
「刀剣ことわざ4コマ漫画」は、
かわいいキャラクターの漫画で描かれているので
楽しみながら学習ができていいですねっ。
子供の勉強にもなるので、今度紹介してみます。
いままで知らずに使ってました!
「とんちんかん」も日本刀由来のことわざだったとは( ゚Д゚)
勉強になりました!
https://www.youtube.com/watch?v=d6RiCXNkVqE
確かに日常に溶け込んでいますね。
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