全日本刀匠会とは?概要や催物、どうすれば会員になれるのかを解説!
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時代劇や大河ドラマに登場する様々な武士や侍。彼らの生き様は時を越えて私達の心を揺さぶります。そして、彼らの魂と言われる刀剣においては、その存在感がひと際高く、魅力的です。当時の貴重な刀剣は博物館などで展示されており、歴史背景とともに素晴らしい技術を今に伝えています。
時代を超えて人々を魅了する刀剣は、刀鍛冶によって作られます。そんな刀鍛冶が所属する全日本刀匠会とは、どのような団体なのでしょうか。
全日本刀匠会とは
全日本刀匠会は、日本独自の伝統美術工芸品である刀剣の作成技術の研究開発及び新作刀剣の普及、刀匠としての人格の育成、さらに会員相互の親睦を図ることを目的として活動しています。
全日本刀匠会の歴史
全日本刀匠会の設立は、1975年(昭和50年)4月4日。現会長は7代目となります。
神話の頃に天上からもたらされた隕鉄が、やがて独特の美しい姿を持つ刀剣に進化していきました。
そのような伝承もあり、刀剣には神が宿ると伝えられ、人知の及ばない凶事や物の怪から身を守り、未来を切り開く「守り刀」として、祈りと願いが込められます。
全日本刀匠会では伝統技術の保持とともに、未来を切り開く支えとなるような現代の刀剣、すなわち現代の守り刀を次世代に伝えていくために活動しています。
全日本刀匠会の事業内容
全日本刀匠会の事業目的は、下記に挙げる5項目を軸に、刀剣・日本刀発展のための事業を行なっています。
- 作刀技術の発表ならびに技術の交流及び研究。
(各種作刀研修会主催)- 展示会を主催し、現代刀の普及を図る。
(お守り刀展覧会主催)- 日本刀製作に関する行政施策の実施に関する協力。
(文化庁「美術刀剣刀匠技術保存研修会」講師派遣等、開催協力)- 他の公共団体及び諸団体の主催する審査会ならびにその他の事業に協力する。
- その他必要と認める事業。
(「日本刀の基礎知識」「お守り刀展覧会作品集」他作品集制作、「たたら後継者育成」「製炭及び製炭技術・後継者育成」、刀掛・作務衣等展示用品・作業用品の製作販売、展示会アドバイザーなど)※全日本刀匠会ホームページより引用 http://www.tousyoukai.jp/about/
全日本刀匠会の会員
全日本刀匠会の会員は、刀剣・日本刀の魅力を広く普及するために活動する刀匠達です。
また、一般からの協賛者である「一般賛助会員」と、法人の協賛者である「法人賛助会員」がいます。
全日本刀匠会に所属する会員について
全日本刀匠会に所属する会員は北海道から沖縄まで全国に存在しており、役員構成は以下のようになっています。
会長 | 1名 | 副会長 | 2名 |
---|---|---|---|
顧問 | 3名 | 相談役 | 2名 |
常務理事 | 3名 | 理事 | 3名 |
書記 | 1名 | 会計監査 | 2名 |
各支部長 | 全国7支部に各1名 |
全日本刀匠会の会員になるには
全日本刀匠会はその名の通り、刀匠による会のため、会員になるには刀匠であることが条件。
しかし、現在はその活動に賛同・支援する方を対象に、一般賛助会員の募集も行なっており、全日本刀匠会の一般賛助会員には以下の特典があります。
- 刀匠会時報(年2回)の送付
- 刀匠会主催イベントの案内
- 作品集の送付
- 刀匠会ネットショップの割引
刀匠になるには
美術刀剣作刀技術実地研修会へ参加
美術刀剣作刀技術実地研修会は、刀鍛冶の仕事を体験したり、実際に修業中の方の話を聞いたりできる貴重な機会。
例年では5月と11月に開催し、研修生の募集は、おおよそ1~2ヵ月前から始まります。
研修生の募集については、全日本刀匠会のホームページや公式Facebookで告知されるので、確認しておきましょう。
刀鍛冶へ体験入門
研修会終了後、希望者は刀鍛冶の下で数日間の体験入門が可能です。この体験入門を通じて入門後の様子を確認し、気持ちが固まった方は入門先を探すこととなります。
入門先の紹介
かつては、入門先は刀鍛冶を希望する本人が探すのが一般的でしたが、昨今の需要の高まりを受けて、全日本刀匠会では入門先の案内・紹介をするようになりました。
ただし、あくまで紹介ですので、実際に希望入門先に受かるかどうかは本人次第となります。
希望入門先での面接・交渉
入門するには、刀鍛冶との面接や交渉をしなければなりません。
しかし、刀鍛冶の多くは経済的な理由や、責任感の重さから弟子を取ることに積極的ではないため、なかなか弟子入りすることができないのが実情。面接・交渉のステップが最難関と言えるでしょう。
それでも刀鍛冶になりたいという想いがある方は、その強い想いを希望入門先にしっかりと伝えることが必要になります。
また、入門先についての情報収集も重要。希望する入門先が開催している展示会や催物に積極的に参加してみることで、思わぬ情報を手に入れられるかもしれません。
刀鍛冶に入門
晴れて入門が認められれば、やっと刀鍛冶としてのスタートです。
ここから最短でも5年間は修業に集中し、文化庁の研修会を修了することだけでなく、専業の刀鍛冶として自立することを目標に日々の研鑽を続けることになります。
とても厳しい道ではありますが、厳しいからこそ、それに見合うだけの責任や価値を後世に語り継ぐことができる職業なのかもしれません。
文化庁主催の美術刀剣刀匠技術保存研修会を修了
4年間の修業を終えた方から、文化庁主催の研修会への参加が認められます。修業は一般的に、1日8時間、週5日を基準としており、週末のみでは、参加が認められません。
研修会では、8日間に亘り作刀一般の技術・知識について修めますが、基礎的な技量がなければ修了は容易ではありません。この研修会は、ほぼ実地試験としての役割を果たしています。
この研修会を修了し、さらに5年の修業を終えることで、「作刀承認」が発行されるのです。
刀鍛冶に関する基礎知識をご紹介します。
全日本刀匠会主催の展覧会&催物

展覧会や催物の様子
全日本刀匠会が主催している展覧会や催物についてご紹介します。
主な展覧会・催物になりますが、これ以外に「現代刀目利き認定大会」や「美術刀剣作刀技術実地研修会」などの催物も。
全日本刀匠会の展示会や催物は頻繁に開催されているので、気になる方はスケジュールなどをチェックしてみましょう。
お守り刀展覧会
全日本刀匠会では、お守り刀の展覧会を定期的に開催。
刀剣は古くから、作刀・刀剣研磨・木工芸・金工・漆芸・組紐と、様々な日本の伝統美術工芸技術が使われています。
日本伝統の粋が込められたお守り刀を実際に観ることで、その存在が近くに感じられるかもしれません。
名刀・名工展
期間中は刀匠によって制作された優れた作品を集め、刀剣界に大きく貢献した刀匠を顕彰する展覧会となっており、現在活動中の刀匠から広く作品を募集・審査されています。
武器ではなく、美術刀剣という在り方を持った名刀・名工を間近で観られる貴重な機会です。
現代刀匠 刀剣展
名刀・名工展とは異なり、現在活躍中の刀匠にスポットをあてた展覧会で、単独及び複数名の刀匠作品を展示。
また、一門刀匠の作品も賛助出品されることがあり、現代の刀匠について知ることができます。
刀剣好き必見!全日本刀匠会のショップ
全日本刀匠会では、刀剣に関する様々な商品の販売を行なっています。書籍や映像商品は、普段ではなかなか知ることのできない刀剣の知識や、刀匠の姿を詳しく知ることができる貴重な資料。ホームページからの購入の他、FAXやメールによる注文も受け付けています。
販売商品の一例
- 書籍
- 「平成の名刀・名工展」
- 「第十四回お守り刀展覧会作品集」
- 「写真で覚える 日本刀の基礎知識」
- 「写真で覚える日本刀の基礎知識Ⅱ」
- 映像
- 【ブルーレイ】「現代相伝備前 日本刀鍛錬の記録 鍛刀一筋 刀匠 三上貞直」
- 【DVD】「現代相伝備前 日本刀鍛錬の記録 鍛刀一筋 刀匠 三上貞直」
- 【ブルーレイ】「拵・刀装具の美 高山一之の世界」
- 刀剣関連グッズ
- 刀身拭い紙代替布 素材「ウルトラスエードⓇ」
- アクリル刀掛け「刀用」
- アクリル刀掛け「脇差用」
- アクリル刀掛け「短刀用」
上記以外にも多くの商品を取り扱っているので、気になる資料はチェックしてみましょう。
まとめ
全日本刀匠会の会員になるためには刀匠を目指す必要がありますが、刀剣が好きで刀剣文化に協賛したい方は、一般賛助会員がおすすめです。
もし、これから刀匠を目指したいと考えている方や、もっと刀匠について知りたい方は、全日本刀匠会のホームページから、より詳しい情報を入手しましょう。
全日本刀匠会:https://www.tousyoukai.jp/
- 【関連サイト】
- 全日本刀匠会 公益財団法人日本美術刀剣保存協会
コメント
コメント一覧 (47)
寝食以外ずっとやっているのかと思ってました。
やっぱり5年の年季があると貫禄ってものが自然に出るもんだなぁ
修行の長さを考えると五輪メダリストみたい
一般賛助会員でもいろいろな特典があるから、刀好きにはお得だね
手順が完全に確立わけだいんですね
分かる人にはわかる深さって物があるんだろうなぁ
一気に弟子を取ってもらって技術者を増やしてもらいたいですけどね!
そう考えるとなってる人はすごい人ばかりですね
まさに本物のお土産が売ってるんだねー
刀剣ワールドでも販売とかするのかな?
たまに海外の人が日本文化に感銘を受けて来日してる特集をテレビでやるけど、あの人達は正式に弟子入りとかできてるのだろうか。
現代刀匠が打った美しい短刀が並べられており見ごたえがありました。
入門先の紹介をしていただけるなんて心強いですね。
一人前の刀匠になるにはかなりの努力が必要なんですね。
微力ながら、我が子や次の世代へ知識を伝えて行くことで応援したいと思います。
岐阜県など、刀剣の産地として名高い土地には会員が多いようですね。
さすが、刃物の町。
鍛錬見学があったら、近いから行ってみたいなぁ。
ちなみに、10月4日は「日本刀の日」で、全日本刀匠会が「日本刀の日」を申請、2018年に認定、10と4は「刀匠」の語呂合わせだとか・・・。それで10月4日には、全日本刀匠会の各地の支部でイベントをが開催されてて、信越・北陸の支部では、普段見られない古式鍛錬の様子が公開されたことがあるそう。
実は私も刀剣に興味があって、一時期刀鍛冶になる方法を調べたことがあるほどなんですけど、刀鍛冶になるには、厳密な年齢制限はないようで、全日本刀匠会では高校卒業くらいから30代ぐらいまでを推奨。その理由は、刀鍛冶の仕事を覚えるにはある程度若くなければ難しくて、でも若すぎても体力的に厳しいから、、、だとか。
あと、刀匠資格に国籍条件はないので、日本国籍じゃなきゃダメという規定もないみたいですね。実際に1人、海外の方が刀鍛冶になった例があって、その人はマレー・カーターというカナダ出身の男性で子どものころから日本になじみがあったんですって。18歳のときに熊本で第16代吉本刀匠と出会って、そのまま弟子にしてもらったとか。6年修行して17代目吉本を受け継ぎ、日本やアメリカで今でも包丁やナイフなどの刃物を作っているみたいですねー。
ハードル高い!!
その少年は自宅に釜を持って自分なりに制作していたらしいのだけど(包丁レベルで)、日本に来て体験できてすごく喜んでいたわ。刀についての会話レベルがすごかったです。
日本人よりもこういった外国人の方が興味あるでしょうね。
ま、今は入国無理ですけど、早くおさまって欲しいですね。
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