153‗大阪歴史博物館

2020年(令和2年)10月31日から「大阪歴史博物館」(大阪府大阪市)で開催される日本刀特別展「埋忠〈UMETADA〉桃山刀剣界の雄」。このたび、埋忠一門が制作した日本刀、及び鍔、鎺などの刀装具が展示される日本刀好き必見の場に、刀剣ワールド博物館の所蔵する短刀が3振展示されることになりました!なんと、この3振は最新のCG技術を用いた、バーチャル上の「オンライン展示」もされることになったのです!

今回は、特別に取材させて頂いた刀剣ワールド所蔵の3振の撮影風景や埋忠展の見どころをご紹介していきます。

埋忠展の概要

埋忠展とは?

153‗埋忠〈UMETADA〉桃山刀剣界の雄

2020年(令和2年)10月31日から「大阪歴史博物館」(大阪府大阪市)で、2021年(令和3年)1月9日からは「刀剣博物館」(東京都墨田区)で開催される特別展「埋忠〈UMETADA〉桃山刀剣界の雄」

この展示は、新刀の祖のひとりとされる「埋忠明寿」(うめただみょうじゅ/うめただめいじゅ)を筆頭とする「埋忠一門」が制作した日本刀、及び(はばき)などの刀装具の展示や、広がりを見せる埋忠一門の多彩な活動を紹介する特別展です。

1章では、刀工・鍔工としての埋忠一門の特徴や作風の変遷を、3部に分けて紹介。華やかな桃山時代の文化を背景として花開いた、埋忠一門の日本刀や刀身彫刻、鍔などの作品群が鑑賞できる構成になっています。

2章ではもう少し埋忠一門の世界に踏み込み、「埋忠銘鑑」や鎺制作、大名との繋がりなどに焦点をあてた4部構成の美術品を紹介し、刀剣ファン必見の場と言えるでしょう。

埋忠一門の作品が一堂に会するこの展示は、大変貴重な機会と言え、見どころ満載になること間違いなしです。

また、この刀剣展に、刀剣ワールド博物館が所蔵する貴重な短刀が3振展示されます!展示されるのは、「短刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿 慶長拾三年三月吉日 所持熊谷清六」
「短刀 銘 来国光」(名物 塩河来国光)
「短刀 銘 来国光」(名物 有楽来国光)の3振。

この3振は、博物館に展示されるだけでなく、最新のCG技術を駆使したバーチャル上の「オンライン展示」によって、より近くで作品に触れることができるようになるとのこと!

撮影にお邪魔して、実際にオンライン展示がどのようなものになるのか伺ってきました。

刀工「埋忠明寿」の情報と、制作した刀剣をご紹介します。

オンライン展示/バーチャル撮影とは?

153‗撮影の様子2

オンライン展示とは、WEB上で行なわれるバーチャル展示のこと。今年に入ってから、コロナウイルスの影響により、多くの博物館が休館を余儀なくされたことで広まったオンライン展示は、パソコンやスマホの操作によって、360°丸ごと作品が堪能できるのです。

今回、3振の撮影には、大阪歴史博物館の内藤さんとNHKエンタープライズの撮影班が来られ、4Kの高画質カメラで、短刀と鎺の撮影をしていかれました!

オンライン展示とは実際どのようなものかと言うと、まず、撮影された静止画を最新のCG技術で復元させ、360°どの角度からでも観えるように調整します。オンライン上の展示なので、URLにアクセスしたのちに、自分のアバターを設定。そのアバターを起点として、左右にクリックやスワイプしながら鑑賞できるのです。

153‗撮影の様子

撮影の様子

オンライン展示では、今回撮影された刀剣ワールド博物館所蔵の「埋忠明寿」が鑑賞可能。丸ごと鑑賞できる体験はなかなかありませんので、ぜひ堪能してみて下さい!また、刀匠「月山貞利」(がっさんさだとし)の制作過程などもオンラインに載る予定とのことです!

なお、動画等は博物館でも流されますが、CGで丸ごと鑑賞できるのはオンラインのみ。博物館の展示パネルや公式サイトにURLやQRコードが載せられるので、そこからアクセスできます。2020年(令和2年)10月31日からの公開予定です!楽しみにお待ち下さい。

日本刀の歴史に名を残す、数々の現代刀の名工・名匠をご紹介します。

日本刀に関する多彩な活動を見せる埋忠一門とは?

新刀の祖埋忠明寿と埋忠家

埋忠一門とは、桃山時代から江戸時代にかけての刀工である埋忠明寿を流祖とする一派です。元々、平安時代の名工「三条小鍛冶宗近」(さんじょうこかじむねちか)を祖とする金工の名家で、代々京都の西陣を拠点とし、足利将軍家に仕官していました。

埋忠明寿も室町幕府15代将軍「足利義昭」(あしかがよしあき)に仕え、幕府滅亡後は、「織田信長」、「豊臣秀吉」などの天下人に重用されたと言います。「本阿弥光悦」(ほんあみこうえつ)や西国の武将達とも通じ、文化人として広く知られていました。

古刀から新刀へ移る過渡期に活躍した埋忠明寿は、名工「堀川国広」(ほりかわくにひろ)と共に新刀の祖のひとりとして数えられますが、作刀数は少なく、家業である装剣金工家としてその真髄を発揮。

「埋忠彫」と呼ばれる刀身彫刻や、「埋忠鍔」と呼ばれる華やかで精緻な技術を用いて制作された鍔の作風は、装剣金工家としての埋忠一門に長い間受け継がれていきました。

刀工「宗近」の情報と、制作した刀剣をご紹介します。

刀工「堀川国広」の情報と、制作した刀剣をご紹介します。

織田信長のエピソードや、関連のある刀剣・日本刀をご紹介します。

豊臣秀吉のエピソードや、関連のある刀剣・日本刀をご紹介します。

織田信長のエピソードをはじめ、それに関係する人物や戦い(合戦)をご紹介します。

豊臣秀吉のエピソードをはじめ、それに関係する人物や戦い(合戦)をご紹介します。

埋忠展の鑑賞のポイント

埋忠展を鑑賞するにあたってポイントとなるのは、華やかに花開いた桃山文化の性質。禅や「侘び寂び」が重要視された戦国期から、天下泰平となった桃山時代は、華やかで分かりやすい作風の芸術が好まれました。

埋忠明寿が制作した鍔の図様も、近世初期に活躍した絵師「俵屋宗達」(たわらやそうたつ)風で、鉄地金をほとんど使わず、金や赤銅、山銅、真鍮などの色金を使って、色彩豊かな作品が特色とされます。

また、作刀についてはほとんどが短刀で、刀は1振のみ。刃文は浅い湾れ(のたれ)に互の目(ぐのめ)が交じり、地刃ともに細く(にえ)た、相州伝風の作風とされています。埋忠彫と呼ばれた精緻で絢爛な刀身彫刻は圧巻で、短刀には「玉追い龍」などの図柄が彫刻されました。

埋忠明寿の龍は、きょとんとした顔や突き出た下顎がチャームポイント。愛嬌がありかわいらしい龍も、埋忠展をより楽しむポイントとして観てみましょう。

刀も鍔も、埋忠明寿の作品は華やかで、一目で見て取れる物が多く、分かりやすく楽しめる作品が多くあります。魅力的な埋忠の世界は、初心者にもおすすめの展覧会と言えるでしょう。

刀剣ワールド博物館所蔵の3振の短刀

埋忠展で展示される刀剣ワールド博物館が所蔵している短刀3振を楽しく鑑賞するために、刃文や刀剣鑑賞のポイントをご紹介します。

短刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿 慶長拾三年三月吉日 所持熊谷清六

本短刀は埋忠明寿の作品で、(なかご)の差表に「山城国西陣住人埋忠明寿」、差裏に「慶長拾三年三月吉日 所持熊谷清六」というが入れられています。

埋忠明寿は多くの短刀に丁寧に銘切をしたと言われ、本短刀にも作者銘と年紀銘が刻まれました。刀身に刻まれた絢爛な玉追い龍の彫物も、よく観ると下顎を突き出し愛嬌のある顔をした、埋忠明寿得意の物。

また、身幅が広い切刃造りで、互の目の刃文に小沸の付いた本短刀は、埋忠明寿の作風が良く表されています。

96_短刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿 所持熊谷清六

短刀 銘 山城国西陣住人埋忠明寿 慶長拾三年三月吉日 所持熊谷清六

短刀 銘 来国光(名物 塩河来国光)

名物 塩河来国光は、京都の名工「来国光」(らいくにみつ)の手による短刀で、「享保名物帳」にも記載された1振です。「塩河伯耆守国満」(しおかわほうきのかみくにみつ)が所持していたことに因んで名付けられました。

刃文は直刃調に浅い互の目が交じり、小杢目肌地鉄地沸が付いています。差表の帽子は円い飛び焼になりますが、差裏の帽子は小丸に返されました。

本短刀には、「うめたゝ 寿斎 彦一入」と銘が入れられた、金無垢の2重鎺が付けられています。埋忠一門の在銘の鎺は現在数えるほどしかなく、大変レアな物。短刀自体も大変貴重な作品ですが、埋忠家の技術をもって制作された銘入りの鎺も両方あわせてチェックしてみて下さい。

153_短刀 銘 来国光(名物塩河来国光)

短刀 銘 来国光(名物塩河来国光)

刀工「来国光」の情報と、制作した刀剣をご紹介します。

短刀 銘 来国光(名物 有楽来国光)

名物 有楽来国光は、塩河来国光と同じく、来国光の手による国宝の短刀で、当時の所有者であった織田信長の弟「織田有楽斎長益」(おだうらくさいながます)の名にちなんで名付けられました。

身幅が広く、小板目肌の地鉄には地沸が付き、刃文は浅い湾れに互の目が交じった大丁子乱れの華やかな印象の1振です。差表に不動明王の化身とされる剣が彫刻され、流麗な印象がある短刀と言えます。

本短刀にも、埋忠一門の作であるとみられる鎺が附帯しており、銘には「片岡六左衛門」(かたおかろくざえもん)の銘が入れられました。茎の台尻に銘切がされていますが、本来、台尻にあるのは作者銘ではなく、所持銘とされます。

なお、この片岡家は、刀剣鑑定の重鎮「本阿弥家」(ほんあみけ)に縁深い家柄の者であったとされ、この鎺は埋忠家と本阿弥家や、諸大名との繋がりを示す資料として貴重な物なのです。

96_短刀 銘 来国光(名物 有楽来国光)

短刀 銘 来国光(名物 有楽来国光)

織田有楽斎(織田長益)のエピソードをはじめ、それに関係する人物や戦い(合戦)をご紹介します。

開催日時と関連行事

本展は、大阪と東京の2ヵ所で開催予定!それぞれの詳細な日時と場所、イベント内容をご紹介します。

大阪会場

153‗大阪歴史博物館2

大阪歴史博物館

開催日時

会期 10月31日(土)~12月14日(月)
開催場所 大阪歴史博物館
開館時間 9時30分~17時
金曜日は9時30分~20時
休館日 火曜日
(11月3日[火・祝]は開館
11月4日[水]休館)
観覧料 大人:1,900円
学生:1,200円(中学生以下は無料)

特別展記念フォーラム「刀剣彫刻を語る」

埋忠展開催の記念フォーラムとして、刀匠・月山貞利氏と刀身彫刻師「岩崎範光」(いわさきのりみつ)氏、刀剣博物館の「久保恭子」氏を交え、刀身彫刻についてお話し頂くイベントです。

とてもレアなイベントのため、興味のある方はぜひご参加下さい!入場は無料ですが、イベント参加券付きの日時指定券が必要となるので要注意です。

日時:11月7日(土) 13時30分~15時(開場 12時45分~)

会場:大阪歴史博物館 4階 講堂

白銀師によるトークショー
「鎺(はばき)の見方、作り方」

白銀師」(しろがねし)とは、本来刀装具の下地作りを担当する職人のことを指し、刀装制作の分業が進むと、鎺専門の職人となりました。

今回は、白銀師「中田育男」(なかたいくお)氏による鎺についてのトークショーが開催されます。美しく輝く埋忠鎺に対する理解をより深めることができるこのトークショーは、刀剣好き必見です。

記念フォーラムと同様に入場は無料ですが、イベント参加券付きの日時指定券が必要となるので注意しましょう。

日時:11月14日(土) 13時30分~15時(開場12時45分~)

会場:大阪歴史博物館 4階 講堂

東京会場

刀剣博物館

刀剣博物館

開催日時

会期 2021年(令和3年)1月9日(土)
~2月21日(日)
開催場所 刀剣博物館
開館時間 9時30分~17時
休館日 月曜日
観覧料 大人:1,900円
学生:1,200円(中学生以下は無料)

刀剣展示をしている博物館・美術館についてご紹介!

【関連サイト】
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