歴女要注目!桑名市博物館の魅力 - 刀剣ワールド
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三重県桑名市は、刀匠である村正ゆかりの地。「妖刀村正」と言えば歴女や刀剣ファンはもちろん、刀剣にあまり詳しくない方でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。「桑名市博物館」では、江戸時代に「寛政の改革」を行なった老中・松平定信に関する資料や村正作の刀剣を収蔵しており、歴女や刀剣ファンには注目のスポットとなっています。
桑名市博物館とは
桑名市博物館の収蔵品
桑名が誇る工芸技術 萬古焼
桑名の地場産業として全国的にも有名な「萬古焼」(ばんこやき)も、桑名を代表する伝統文化のひとつ。萬古焼のルーツを探ると、その起源を江戸時代に見ることができます。
かつて桑名の地で陶器を専門に扱っていた回船問屋に、沼波家という有力な商家がありました。そこに跡取りとして生を受けた
「沼波弄山」(ぬなみろうざん)という茶人が、作陶のために開窯したことがはじまり。
沼波弄山は、琳派(りんぱ)と呼ばれる江戸時代の美術流派を形成していた尾形乾山(おがたけんざん)に師事して身に付けた京焼の陶法を駆使して、華麗な色絵を特徴とする作品を生み出しました。
これを機に発展してゆく萬古焼産業は、現代にまで受け継がれ、今でも三重県を代表する伝統美術工芸品となっています。
桑名市博物館では、ルーツとなった古萬古から、有節萬古や桑名萬古と変遷して受け継がれてゆく萬古焼の名品を多数収蔵。時代が変わりゆく中で推移していく萬古焼の歴史を知ることができる特別展示なども企画されています。
歴史ファン必見!松平定信が残した文化史料
江戸時代後期に桑名へと転封され、桑名藩主を受け継ぐ家系となった久松松平家。この家系の中の人物として、老中首座にまで登り詰めた松平定信がとりわけ有名です。
松平定信が活躍したのは江戸時代中期。松平定信の前に幕政の主導権を握っていた田沼意次のあとを受けての老中就任でした。田沼意次時代の腐敗した幕政を一新して、寛政の改革を断行した傑物として評価されています。松平定信の嫡子である松平定永の時代に桑名藩への移封が行なわれたことにより、久松松平家は桑名の地と縁を結ぶようになりました。
優れた為政者としての印象が強い松平定信ですが、実は多くの書画を著している文化人としての側面も持ち合わせていました。桑名市博物館には、松平定信直筆の写本といった貴重な関連史料が収蔵されています。
中学校の歴史の教科書にも出てくるような、日本史における重要人物の知られざる一面を知ることができるのは、歴女にとって貴重な機会となるのではないでしょうか。
その他にも、刀の町である桑名らしく多数の刀剣や、宿場町桑名に関連した浮世絵など、桑名の歴史を物語る作品を収蔵展示する博物館となっています。
桑名市博物館の魅力
桑名発祥の鶴の折り紙 千羽の連鶴
美術品ではありませんが、桑名市博物館を訪れたら、ぜひ鑑賞してもらいたいのが折り鶴です。桑名に受け継がれてきた伝統芸術に、折り紙工芸技術を駆使した「千羽鶴」があります。千羽鶴と言うと、千羽の折り鶴を糸で吊り下げて束にしていく形を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
桑名の千羽鶴の場合は、ただ千羽を重ねた折り鶴というわけではありません。1枚の紙から複数の鶴を作り上げる紙工芸のことを指します。千羽との呼び名はありますが、「多数の」という意味で使われているので、千の折り鶴が実際に折られているわけではないのです。
220年以上の時を経て、桑名に伝承されてきたこの千羽鶴のことを
「連鶴」(つなぎ鶴)と呼びます。
連鶴の発祥は、江戸時代の中期のこと。桑名市にある浄土真宗本願寺派の長円寺の住職であった「魯縞庵義道一円」
(ろこうあんぎどういちえん)が発案した折り方です。
僧侶でありながら文化人としても活躍していた魯縞庵義道一円は、18年もの歳月を費やして、精巧な連鶴の技術を考案しました。その知識がまとめられた書物が「秘伝千羽鶴折形」です。1797年(寛政9年)、江戸時代中期に刊行されています。
この秘伝千羽鶴折形は、魯縞庵義道一円が考案した連鶴49種を京都の吉野屋為八がまとめて発行した物。これまで千羽鶴折形は、現存する世界最古の折り紙の書物だと考えられていました。
しかし、2014年(平成26年)に、秘伝千羽鶴折形刊行以前に魯縞庵義道一円が書き記した「素雲鶴」と、さらに考案が追加されていた「新撰 素雲鶴」が長円寺から発見されたのです。
桑名市博物館は、伊勢湾台風の水害によって損傷の激しかったこの2冊を慎重に復元。魯縞庵義道一円に関する貴重な史料とともに、連鶴史料集として発売しています。
桑名の連鶴は、1976年(昭和51年)に桑名市の無形文化財として指定されています。そしてこの技術を本格的に復活させるきっかけとなったのが、桑名市博物館の館長を務めた女性の活動です。
当時学芸員であったこの方が、連鶴の展示を思い付き、試行錯誤の末に連鶴49種を再現。1985年(昭和60年)に、桑名市博物館の常設スペースへ展示することができました。現在では、市民講座などを通して貴重な伝統技術が受け継がれています。
桑名市博物館では、秘伝千羽鶴折形の複製本をはじめ、多数の連鶴とともに、魯縞庵義道一円が初めて考案した連鶴を展示。繊細な技術を駆使して折られた、愛らしい鶴の姿を鑑賞することができるのです。
また桑名市博物館は多彩な企画展示の他、刊行物やグッズの販売、ギャラリー・展示室の団体貸し出しなど、地域利用に密着した運営を行なっています。
2階展示室は日本初の試みとなる壁取り付け型エアタイトケースを採用。エアタイトケースとは外部からの空気の侵入を防ぎ、展示品をホコリや害虫から守る構造を持ったケースのことで、貴重な歴史文化資料の保存にも注力しています。
桑名市博物館の見どころや刀剣イベントを解説!
桑名市は刀匠として有名な「村正」が活動していた土地でもあり、刀剣にまつわる見どころが目白押しの歴女・刀剣ファン注目の地域です。
村正ゆかりの地

徳川家康
三重県桑名市は、刀剣ファンには妖刀伝説でおなじみの刀匠村正ゆかりの地として有名です。
室町時代中期頃の初代から代を重ね、江戸時代初期まで活動していた刀匠村正。徳川家康の父・松平広忠、祖父・松平清康、嫡男・松平信康、それぞれの命を奪った日本刀はすべて村正であったとされています。
そのため後世に創作されたとみられる逸話では、村正という刀が徳川家に災いを呼ぶ日本刀として扱われてきました。さらには大坂夏の陣で徳川家康の本陣まで迫った真田幸村(真田信繁)の愛刀までもが村正だったと伝えられているエピソードもあることから、徳川家とは因縁のある日本刀とされています。
刀剣としての村正の特徴は、何と言っても比類なきほどの切れ味です。美濃伝や山城伝の流れを汲む初代村正は、「千手観音の申し子」を自任していたため、「千子派」とも呼ばれていました。表裏の刃文が揃う村正刃(千子刃)の様式を広めた一派でもあります。
五箇伝以外の刀工集団を脇物と呼びますが、なかでも一般的な知名度の高さが群を抜いているのが村正なのです。
徳川家康のエピソードや、関連のある刀剣・日本刀をご紹介します。
徳川家康のエピソードをはじめ、それに関係する人物や戦い(合戦)をご紹介します。
真田幸村(真田信繁)のエピソードをはじめ、それに関係する人物や戦い(合戦)をご紹介します。
徳川家の来歴をはじめ、ゆかりの武具などをご紹介します。
刀工「村正」の情報と、制作した刀剣をご紹介します。
「五箇伝」をはじめ、日本刀に関する基礎知識をご紹介します。
歴史上の人物が活躍した大坂冬の陣・夏の陣をご紹介!
武将達が戦った大坂冬の陣・夏の陣の古戦場をご紹介!
刀剣の企画展示を不定期で開催
桑名市博物館では刀剣の企画展示を不定期開催しています。
2016年(平成28年)に開催された「村正展」が好評を博したことにより、2018年(平成30年)には「村正Ⅱ―村正と五箇伝―」が開催される運びとなりました。それ以後も、「刀剣幻想曲-刀剣ファンタジア」といった刀剣の展示が続々と企画されている刀剣ファン要注目の博物館です。
こういった企画展示では、博物館収蔵の刀剣はもちろん、テーマに沿って集められた個人蔵の刀剣など、企画展ならではの品が出品展示されていることでも刀剣ファン必見の企画展となっています。
特に専門用語が多く、とっつきにくいと思われている刀剣鑑賞のポイントを分かりやすく紹介しているので、刀剣に興味はあるもののなんとなく敷居が高いというイメージを持っている方にもおすすめです。
低価格で楽しめる
桑名市博物館は市立博物館のため、入館料が安く気軽に立ち寄れることも特徴です。
博物館へのコミュニティーバスも運行しており、メールマガジンも配信されているので、新しい企画展示の案内があるたびに通っている歴女・刀剣ファンの方も多いのではないでしょうか。
桑名市博物館の近くにあるおすすめ飲食店

桑名市博物館の近隣は、桑名城下町としても有名です。古くから桑名の町は、城下町、港町、宿場町といった機能が入り混じって、独特の文化を作り上げてきました。
そんな桑名市博物館の近くで食事を楽しめるスポットを、歴女や刀剣ファンに向けてご紹介します。
柿安本店
「柿安料亭本店」は、松坂牛・黒毛和牛を使ったメニューが絶品の料亭。
献立は鉄板焼きだけでなく、すき焼き、しゃぶしゃぶ、あみ焼きと好みに合わせたコースを選べる他、ランチ限定のお得なメニューも用意しています。予約は電話だけでなく、Webからでも可能です。
美勝
「美勝」(みかつ)は、桑名市内にある焼肉屋さんです。肉厚で質の高いお肉を提供しており、特に厚切り牛タンは多くのお客様の支持を得ています。
お肉だけでなくサイドメニューにもこだわっており、休みの日などのピーク時は行列ができるほどの人気店です。
らぁめん登里勝
「らぁめん登里勝」(とりかつ)は、ラーメン好きな寿司職人だった主人が始めたという、一風変わったラーメン屋です。
これまでのラーメン屋のイメージとは異なる、女性でも入りやすい空間を意識した店内は、ご夫婦やデートにもおすすめできるアットホームな雰囲気が特徴です。
寿司職人のお店だけあって、ラーメンに合うお寿司も用意されています。
桑名市博物館近くのおすすめ宿泊施設(ホテル)

旅行や観光の際に便利な、桑名市博物館近くのおすすめ宿泊施設(ホテル)をご紹介します。
桑名シティホテル
くわなパークホテル
セントラルホテル
三交イン桑名駅前
桑名市博物館だけじゃない!近くにあるおすすめ観光スポット

桑名市博物館と一緒に回りたい、桑名のおすすめ観光スポットをご紹介します。
春日神社(桑名宗社)
春日さんの名前で地元の方から親しまれる「春日神社」ですが、正式名称は桑名宗社と言います。子供の成長を祝う神様がいることから、初宮参りや七五三詣に人気がありますので、子供と一緒に家族で訪れてみると良いご利益があるかもしれません。
この春日神社にも村正の太刀が2振奉納されています。
旅探では春日神社(桑名宗社)をはじめ、日本全国の観光名所を検索できます!
海蔵寺
まとめ
桑名市は、妖刀伝説でおなじみの村正ゆかりの土地であることから、桑名市博物館では刀剣の企画展示も行なっています。
刀剣が好きな方はもちろん、興味はあるけれど敷居が高いと感じている方でも安心して楽しめる企画が多いので、機会があればぜひとも三重県桑名市へ足を運んでみて下さい。
コメント
コメント一覧 (21)
蜻蛉切とかも見れて面白かった!
あと、桑名市博物館に行ったあとのご飯として特におすすめなのはらぁめん登里勝かな。博物館から道路を渡った場所にあるから、すぐ行ける。テーブル席もあるから歴女仲間で何が良かったか戦果を語りながら食べるのもよし、一人で展示物を思い出しながら食べるのもよしだよね。だけど、たっぷり食べたいなら美勝もいいかも。美勝も徒歩すぐの場所にあるからね。
あと、桑名市博物館には村正も展示されているらしいです。刀についてはそれほど詳しくないんですが、村正と聞くといろいろなゲームや小説にでてくるというとても強い刀というイメージがあります。本当に実在していた刀だったんですね。当時の切れ味を見てみたい気もします。
蜻蛉切とかも展示されていて、見応えがありました
参考にしますー
海外でも今でこそ折り鶴は有名ですけど、この蓮鶴はまだまだ知られてないと思う。紹介したいなあ、、素晴らしい。
このような博物館が栄えるのはよい事ですね。
いろいろ参考になりました!
一(一橋慶喜)、会(会津藩)、桑(桑名藩)。
私は幕末の頃の桑名藩が好きです。
会津の松平容保と桑名藩の松平定敬が兄弟だったこともあり良い感じの勢力でした。
何故かこの展示には勝海舟の茶碗もあったのですがw
またこう言う企画もして欲しいです^_^
来年の大河が幕末から始まるからまたあるかな?
東京からだと、どうやって行くのがオススメなんでしょう?
すごく美しいですね!
鶴が踊ったり、話したりしているように見えますね。
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