91_東京の博物館・美術館

日本に来る海外の観光客の中には、ここ何年かの「クールジャパン」現象の影響を受けて、日本古来の伝統的な、もしくは日本独自の「アート」に興味を持って訪れる人達も多いのではないでしょうか。日本人だけでなく、外国の方々にもある日本美術への知的探求心を満たすことができる東京の博物館や美術館について、ご紹介します。

日本刀を知り尽くす「刀剣博物館」

刀剣博物館
刀剣博物館

数ある日本の伝統工芸品や美術品の中でも、日本同様、海外でも大人気となっているのが「日本刀」。

全国各地にも、日本刀を所蔵したり常設展示したりしている博物館や美術館は多くありますが、東京都墨田区にある「刀剣博物館」は、国内でも数えるほどしかない日本刀専門の博物館です。

同館はもともと、武具から日本の美術工芸品へと発展を遂げた日本刀を保存し公開することで、その文化を世の中に広く伝えることを目的に、1968年(昭和43年)、「日本美術刀剣保存協会」の付属施設として渋谷区に創立。その後、2018年(平成30年)1月に現在の場所へ移転しました。

刀剣博物館では、刀剣愛好家からの寄贈、もしくは保管や管理を委託された日本刀を中心に、刀装具類や甲冑など、約190点を収蔵。なかでも日本刀は、国から国宝重要文化財の指定、認定を受けた品など、貴重な刀剣が多数揃っています。

その一例としては、新撰組の局長「近藤勇」(こんどういさみ)が佩刀(はいとう:日本刀を腰に帯びること)していたと伝わる、江戸時代前期の名工「虎徹」(こてつ)作の脇差(わきざし)や、播磨国明石藩(はりまのくにあかしはん:現在の兵庫県明石市)藩主「松平家」(まつだいらけ)に伝来した国宝の太刀「銘 国行(来)」(めい くにゆき[らい])など、その年代や流派は多岐に亘っているのです。

これらの展示は、同館で開催される展覧会ごとに公開される日本刀が変わります。そのため、刀剣ファンの方は、お目当ての1振を見逃さないように公式ホームページの年間スケジュールなどをチェックしておきましょう。

また、刀剣博物館では、毎月第2土曜日(8月、12月は除く)に、刀剣鑑賞の初心者の方に向けて「マナー講座」を開催。実物の日本刀を実際に手に持ち、デリケートな日本刀を傷めないようにするための取り扱い方や、鑑賞方法などについて学ぶことができます。

さらに、このマナー講座を修了した方は、同じく毎月第2土曜日に行なわれる「定例鑑賞会」へ参加することが可能。鑑賞会では、「」(なかご)を隠した状態で、作刀した刀工の名前を当てる「入札鑑定」(にゅうさつかんてい)を体験できます。

初めのうちは難しいかもしれませんが、日本刀は刀工それぞれが得意とする刃文やその作風などの特徴が、何度も鑑賞することで分かるようになってきます。

日本刀をただ眺めるだけでなく、知識や理解をもっと深めたいと思っている刀剣ファンの方々には、ぜひ一度は足を運んで頂きたい博物館です。

日本美術刀剣保存協会 酒井忠久
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浮世絵の魅力を知る「すみだ北斎美術館」

91_すみだ北斎美術館
すみだ北斎美術館

江戸時代に大成を極めた浮世絵は、今や世界的にも「ukiyo-e」で通じる日本を代表するアートです。

浮世絵の存在が日本国外で知られるようになったのは、実はここ最近のことではなく、1856年(安政3年)幕末の頃、フランスのパリでのこと。日本から輸入された陶器を運ぶ際に、江戸時代後期に活躍した浮世絵師「葛飾北斎」(かつしかほくさい)が手がけた絵手本(えでほん:絵の描き方を学ぶための手本となる絵が掲載された作品集)「北斎漫画」が、日本から輸入された陶器を運ぶ際の緩衝材として用いられていたのです。稀代の浮世絵師である葛飾北斎の作品が、しわくちゃにされてしまったなんて、かなり驚いてしまいますよね。

東京都墨田区にある「すみだ北斎美術館」は、その名の通り、葛飾北斎が手掛けた作品を数多く収蔵している美術館。葛飾北斎は墨田区で誕生し、同区内でその一生を終えた、墨田区に所縁(ゆかり)のある人物。その活躍や功績を世間に広く知らせるために、現在の地に建てられました。

すみだ北斎美術館における収蔵品の中心のひとつが、葛飾北斎の一大コレクターとして知られる「ピーター・モース」の約600点に及ぶコレクションです。

ピーター・モースは1993年(平成5年)、「北斎展」のために来日していましたが、その期間中に急逝。彼のコレクションは、その多くが希少価値の高い作品であったことから、散逸(さんいつ:まとまっていた収集品などが散り散りとなり、その行方が分からなくなること)してしまうことを危惧した遺族によって、墨田区に一括譲渡されました。

この他にも、浮世絵研究の第一人者と称され、戦後すぐに「北斎論」を刊行した「楢崎宗重」(ならさきむねしげ)より、約480点にも上るコレクションが、1995年(平成7年)に同じく一括で寄贈されています。

楢崎宗重のコレクションは、長きに亘る研究活動の中で収集していた葛飾北斎の作品のみならず、近世の版画や日記など、浮世絵を含む日本美術史研究における貴重な資料が多く含まれているのです。

同館では、葛飾北斎の6つの画号(がごう:画家などが本名以外に用いる風雅な名前のこと。同じ読みで雅号とも表記する)で分けたエリアを巡り、葛飾北斎の生涯を辿る常設展の他に、葛飾北斎の名品を様々なテーマで展示する企画展やその見どころを紹介し解説するスライドトーク、お子さんでも楽しめるワークショップなど、多種多様なイベントを開催。楽しみながら、葛飾北斎の魅力を大いに堪能できる美術館です。

江戸時代を代表する浮世絵師「葛飾北斎」の生涯や作品をご紹介します。
「すみだ北斎美術館」の施設情報や口コミ、投稿写真、投稿動画をご紹介します。

日本アニメの人気の秘密を探る
「杉並アニメーションミュージアム」

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東京工芸大学 杉並アニメーションミュージアム

日本独自の文化や食などについて、海外の方々が「かっこいい」(=クール)と評する現象を「クールジャパン」と呼び、その筆頭格と言えるのが「アニメ」です。日本のアニメは、海外とは異なる個性を持つ登場人物や、作り込まれたストーリーの面白さなどから、海外でも高い人気を博しています。

そんな日本のアニメの「総合博物館」と言える施設が、東京都杉並区にある「東京工芸大学 杉並アニメーションミュージアム」。杉並区の公式ホームページによれば、同区には2016年(平成28年)現在、138社にも及ぶアニメ制作会社が集まっていることから、「アニメの街」であることを打ち出しています。

このような背景もあり、同館は日本で初めてのアニメーション専門の博物館として、2005年(平成17年)に開館。2018年(平成30年)には、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」のひとつに選定されています。

こちらでは、これまでの日本におけるアニメの歴史のみならず、「これからの日本アニメ」についても紹介しており、日本のアニメ全般について体系的に学ぶことが可能です。

同館の展示は、画像や映像、そして資料などで、アニメの制作過程を目で観て知るだけではありません。声優の仕事である「アフレコ」にチャレンジしたり、コンピューターを用いて行なう編集や色塗りと言ったアニメのデジタル制作を体験したりできる参加型であることが特徴。

この他にも、「パラパラ漫画」の要領でオリジナルアニメを作る「パラパラアニメコーナー」のワークショップなどを通じて、アニメの原理などを体感することが可能です。また、同館では、アニメの作品や作家を特集した企画展なども定期的に開催されています。

ちなみに、こちらの館長を務めているのは、「鉄腕アトム」や「おそ松くん」などを手掛けた日本を代表するアニメ作家であり、「オバケのQ太郎」や「パーマン」など、「藤子不二雄」(ふじこふじお)作品に登場する「ラーメン大好き小池さん」のモデルにもなった「鈴木伸一」(すずきしんいち)氏。

それだけに同館の展示には、日本アニメの魅力を知るための仕掛けが満載で、アニメファンでなくても、日本アニメの面白さを再発見できる博物館です。

「杉並アニメーションミュージアム」の施設情報や口コミ、投稿写真、投稿動画をご紹介します。
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