184_之定(ノサダ)がくる!

刀剣ワールド財団にまた1振、素晴らしい刀剣が加わることが分かりました!それは、刀剣ファンの間では垂涎(すいぜん)の的、「之定」(ノサダ)と呼ばれる「和泉守兼定」(いずみのかみかねさだ)が作刀した特別重要刀剣です。一体どんな刀剣なのか、和泉守兼定の刀剣について詳しくご紹介します。

之定(ノサダ)とは?

まもなく開館する名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」(メーハク)。開館に備えて、もの凄い刀剣が加わることが分かりました。

それは、通称「之定」(ノサダ)と呼ばれる「和泉守兼定」(いずみのかみかねさだ)の特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」です!

和泉守兼定とは

和泉守兼定とは、室町時代後期に活躍した「美濃伝」(現在の岐阜県)の刀工で「二代目兼定」のこと。

父は「初代兼定」(親兼定)で、和泉守兼定の腕は父以上に良いと言われました。古刀期ではじめて「和泉守」という任官名を授かり、を切った人物です。

作風は相州伝風で、切れ味は抜群。江戸時代には「最上大業物」の刀工と評価され、同じ美濃鍛冶「孫六兼元」(まごろくかねもと)と人気を二分し、「関の双璧」と呼ばれました。

銘字の「定」に特徴があり、ウ冠(うかんむり)の下を「之」とする「㝎」の字を切ったため、「ノサダ」と呼ばれる名匠です。

なお、和泉守兼定の作刀として有名なのは、「細川忠興」が所持した「歌仙兼定」(かせんかねさだ)や「森長可」(もりながよし)の愛槍「人間無骨」(にんげんむこつ)。他にも「武田信虎」や「藤堂高虎」など、一流の武将が和泉守兼定の刀剣を愛刀としています。

刀工「兼定/之定」の情報と、作刀した刀剣をご紹介します。

之定の特別重要刀剣とは!?

184_刀剣の鑑定区分
刀剣の鑑定区分

特別重要刀剣に之定(ノサダ)があるの?そう思ったあなたは、かなりの刀剣好きでしょう!

現在、刀剣の鑑定は「日本国による評価」と民間の「日本美術刀剣保存協会による評価」がありますが、之定(ノサダ)について言えば、有名な歌仙兼定や人間無骨は未鑑定。武田信虎の刀剣は重要美術品(現在は廃止された鑑定結果)。個人蔵の「九字兼定」は重要刀剣と鑑定され、あとは保存刀剣がいくつか。焼失した物や行方不明の物も多くあります。

したがって、之定(ノサダ)は、未鑑定や旧鑑定の重要美術品が国宝重要文化財に指定されない限りは、重要刀剣の刀剣が最高位となるのではないかと一般的には思われてきたのです。

なお、日本美術刀剣保存協会の鑑定は、上位から特別重要刀剣、重要刀剣、特別保存刀剣、保存刀剣となります。

つまり、特別重要刀剣と鑑定された刀剣があれば、之定(ノサダ)の中では記録破りの最高位。この刀剣には、1996年(平成8年)5月29日付で、日本美術刀剣保存協会が発行した指定書が付属されています。

したがって「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」は、本物の之定(ノサダ)の特別重要刀剣であると言えるのです。

刀剣・甲冑に関連する組織団体をご紹介します。

特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)
二ツ胴 三浦将監所持」とは

184_刀 銘 和泉守兼定作 (金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持
刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持

特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」は、銘に切られた通り「三浦将監」(みうらしょうげん)の指料(さしりょう:腰に差していた刀剣)。

三浦将監とは、紀州徳川家の家老「三浦為章」(みうらためあき)のこと。家老とは家臣の中のトップです。

しかし、この刀剣は家老ではなく大名クラスが持つべき刀剣。どうして三浦将監がこの刀剣を所持したのかについては2説あると言われています。

ひとつは、三浦将監の曾祖父は紀州徳川家7代藩主「徳川宗将」(とくがわむねのぶ)であるため、紀州徳川家から伝来したとする説。

もうひとつは、三浦家の先祖「三浦為春」(みうらためはる)の妹が江戸幕府初代将軍「徳川家康」の側室「養珠院」にあたるので、三浦為春が徳川家康から下賜されたとする説。いずれにしても、由緒正しい1振なのです。

三浦啓市さんにお会いしました!

184_三浦啓市さん
三浦啓市さん

特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」の、もともとの所持者は「三浦啓市」(みうらけいいち)さんです。

三浦啓市さんは、静岡県にある制作会社「按可社」(あんかしゃ)の取締役会長。青年の頃から刀剣が好きで、静岡県三島市佐野美術館」の刀剣講座にも通い、何振もの貴重な刀剣コレクションをお持ちの人物です。

しかし、自分の年齢と刀剣の将来を考えて、刀剣を継承したいと思い始めたそう。三浦啓市さんのいちばんのお気に入りが、この「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」ということでした。

「私がこの刀剣と出遭ったのは、21年前です。ある刀剣商から[三浦さんにしか売らない、三浦さんに持っていて欲しい刀剣がある]と言われ、観に行ったのが始まりです」と三浦さん。

「鞘を10㎝抜いて観せてもらっただけで、ものすごい感銘を受けました。身幅刃文の具合、互の目丁子の美しさ、大鋒/大切先なところなど、観れば観るほどバランスが良くて嫌味がない。綺麗だと思う刀剣は多いものの、この刀剣は何がなんでも傍に置いておきたいと思ったんです。
ですから、私が所持して以来、展示会のために貸し出したり、披露したりしたことはありません。どうしても手放さなければならなくなったら、その刀剣商が買い取るから、他には渡さないで欲しいと言われた品でね。でも、その刀剣商の人も4年前に亡くなってしまい、誰に継承したら良いのかと悩んでいたところでした」。

三浦さんの条件は、3つ。特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」を転売目的とはしない人。本当に大切にしてくれる人。そして、今まで秘蔵としていた分、多くの人に観て頂ける環境を用意してくれる人に継承したいとのことでした。

特別重要刀剣の之定を観よう!

三浦啓市さんの刀剣への思いを知って、刀剣ワールド財団では、ぜひ私どもに継承させて欲しいと手を挙げました。

そしてついに、特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」の継承先として、私どもを選んで頂けたのです。

この特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」は、まもなく開館する名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」(メーハク)の主軸展示物のひとつとなるに間違いありません。

ぜひ、之定の特別重要刀剣「刀 銘 和泉守兼定作(金象嵌)二ツ胴 三浦将監所持」が展示される日をお楽しみに!

名古屋刀剣博物館「名古屋刀剣ワールド」
名古屋刀剣博物館 - メーハク「名古屋刀剣ワールド」では、重要文化財などの貴重な日本刀をご覧頂くことができます。
【関連サイト】
兼定/之定 佐野美術館 徳川家康 細川忠興 藤堂高虎 歌仙兼定