国宝の刀剣が多数!春日大社の魅力 - 刀剣ワールド
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奈良県奈良市にある「春日大社」(かすがたいしゃ)は、世界遺産として登録されている「古都奈良の文化財」のうちのひとつです。250年もの昔より奈良に建立された壮大な歴史を誇る神社で、2015年(平成27年)には第60次となる「式年造替」を迎えました。春日大社の見どころは、その長い歴史の中で大切に守られてきた宝物の数々!刀剣や甲冑をはじめとする国宝の数だけでも、他に類を見ないほどの収蔵数を誇ります。
春日大社とは
春日大社の歴史
「春日大社」の歴史は、今から1250年もの昔までさかのぼります。
奈良に都ができた頃、日本の繁栄と国民の幸せを願って、遠く茨城県鹿島から武甕槌命(たけみかづちのみこと)の神を、春日の御蓋山(みかさやま)山頂にある浮雲峰(うきぐものみね)にお迎えしました。
768年(神護景雲2年)11月9日に、称徳天皇の勅命によって現在の地(奈良県奈良市)に壮麗な社殿を造営。
その後、千葉県香取市から経津主命(ふつぬしのみこと)、また大阪府枚岡市(現在の東大阪市東部)から天児屋根命(あめのこやねのみこと)・比売神(ひめがみ)といった神々を招き、併せてお祀りしたのが春日大社の始まりとなります。
春日大社の魅力
春日大社では重要文化財として指定されている御本殿の回廊の他、その敷地内には多くの摂社末社、そして、多くの宝物を収蔵する国宝殿などを有しており、見どころたっぷり!
一ノ鳥居から二ノ鳥居、御本殿までは豊かな自然が並び、本殿までの道を散策するだけでも深い歴史を感じることができます。
春日大社の見どころ
春日大社は見どころが多く、目的を決めずに観光しているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。ここでは、歴女、刀剣ファンがチェックしておきたいポイントをご紹介していきます。
数多くの重要文化財
春日大社は多くの重要文化財で構成されており、数は建造物だけでも20を超え、その多くが本殿の周囲や内側に集中しています。
以下に重要文化財となる建造物の一部をご紹介します。
- 一ノ鳥居(いちのとりい)
- 車舎(くるまやどり)
- 直会殿(なおらいでん)
- 着到殿(ちゃくとうでん)
- 細殿・神楽殿(ほそどの・かぐらでん)
- 竈殿(へついどの)
- 拝舎(はいのや)
- 酒殿(さかどの)
- 板倉(いたくら)
- 幣殿(へいでん)
国宝に指定されている本殿
国宝に指定されている春日大社の本殿は、重要文化財となる回廊に囲まれた場所に建てられています。
春日造と呼ばれる4つの本殿が並んでおり、第1殿から第4殿までそれぞれ、武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神の4柱を祀っています。
現在の本殿は江戸時代末期、1863年(文久3年)に造られ、平安時代末頃の建築様式をそのままに現代にまで受け継がれてきました。
20年に1度の式年造替
春日大社では毎日朝にお参りが奉仕されており、10日に1度の「旬祭」では、御幣が奉られます。
また、20年に1度「式年造替」(しきねんぞうたい)が行われ、神様のお住まいを修繕し改めています。
2015年(平成27年)には、第60次式年造替が執り行われました。
藤浪之屋の万灯籠

春日大社には、現存する室町時代以前の灯籠の6割以上があると言われています。
御本殿を取り囲んでいる回廊端の重要文化財「藤浪之屋」(ふじなみのや)にあるのは、平安時代に奉納された釣灯籠。その数はなんと約3,000基にものぼるのです!
毎年2月の節分と、8月14日・15日の年3回には、すべての灯籠に火を灯す「春日万燈籠」を実施。現在は、ろうそくではなくLED電灯の釣灯籠を特別に公開し、この万燈籠を再現しています。
雅楽や舞楽が行われる萬葉植物園
萬葉植物園は、1932年(昭和7年)に昭和天皇より御下賜金を賜り、約300種の萬葉植物を植栽する植物園として開園しました。
現在はなるべく人の手を加えず、草木を自然のままに活かした「春日大社神苑 萬葉植物園」として運営されています。
園内中央部には浮舞台があり、毎年5月5日と11月3日、春秋2回の祝日には、奈良時代より絢爛豪華な王朝の風情を連綿と伝承してきた伝統ある雅楽・舞楽が「萬葉雅楽会」として奉納されています。
国指定重要無形民俗文化財の春日若宮おん祭
「春日若宮おん祭」は、春日大社の数ある摂社のうちのひとつである若宮の御祭神を丁重にお迎えするお祭りです。
若宮神社の始まりは平安時代にさかのぼり、長年にわたる大雨洪水により飢饉が相次ぎ、疫病が蔓延したため、時の関白・藤原忠通が万民救済のために若宮の御霊威にすがり、1135年(長承4年・保延元年)旧暦2月27日に大宮(本社)と同じ規模の神殿を造営。
そのご利益により、長雨洪水が治まり晴天も続いたため、以後五穀豊穣、万民安楽を祈り、一国を挙げて盛大にお祭が執り行われるようになったのです。
歴女・刀剣ファンは要チェック!春日大社 国宝殿
春日大社の国宝殿では、長い歴史の中で守られてきた国宝や重要文化財を多く展示しています。人気のある刀剣の特別展示なども行われていますので、歴女や刀剣ファンの方は要チェックです!
春日大社 国宝殿とは
春日大社国宝殿は、春日大社が収蔵する国宝や重要文化財をはじめとする多くの文化財を展示する美術館です。春日大社の収蔵品の多くは平安時代制作の宝物であり、王朝時代の美術工芸や刀剣、甲冑などを展示テーマに合わせて公開しています。
例えば、美しい蒔絵を施した蒔絵箏や化粧道具箱などは、第4殿の比売神に捧げられた宝物です。古来から、神に捧げられた神宝を多数収蔵しているため、その多くが国宝や重要文化財として指定されています。その数においては他に並ぶ美術館はないほどなのです!
国宝や重要文化財
国宝殿に収蔵されている文化財は、国宝だけでも352点に上り、重要文化財が971点とその数は圧倒的です。これは、1250年という連綿と続く歴史の中で、春日大社に祀られた神様がどれほどの信仰を集め、いかに大切に扱われてきたかということを表しています。
国宝殿の展示スペースは、1階に日本最大級の竈太鼓を展示するための竈太鼓ホールと展示室、2階に大小の展示室を備えていますが、残念ながらすべての収蔵品を展示することは到底できません。
展示内容はテーマに合わせて随時更新されるので、何度足を運んでも新たな発見に驚かされるでしょう。
春日大社と刀剣の関係
春日大社では、平安時代から南北朝時代の刀剣を数多く収蔵しています。
その中でも特に注目したい1振が、平安時代末期に「藤原頼長」が奉納したと伝えられる「金地螺鈿毛抜形太刀」(きんじらでんけぬきがたたち)です。別名「黄金の太刀」と呼ばれ、刀の金具部分に純度の高い金がふんだんに使われており、他に類を見ないほど豪華!
柄に透かしのある形状は一説によると、当時は柄の部分に使う鮫皮の入手が困難だったので、豪奢に見せつつ重量を減らす工夫として、透かしの技術が考案されたのだと考えられています。
屋根裏で発見された名刀
1939年(昭和14年)に、御本殿近くの宝庫の屋根裏から刀剣12振が発見され、そのうちの4振が特に貴重な造りであることが分かりました。
1振は鎌倉時代後期に肥後で活動していた刀工「延寿国吉」(えんじゅくによし)の作品。国吉は、室町幕府6代将軍「足利義教」(あしかがよしのり)の刀剣の作刀など、評価が高い刀工です。
2振は「長船派」や「福岡一文字派」の源流とも言える「古備前派」の作品。残る1振は珍しい古伯耆物で、安綱の作と考えられる作品でした。
これらも国宝殿に収蔵されており、展示テーマや特別展によっては目にする機会のある逸品なのです。
刀剣の特別展示を開催
春日大社近くのおすすめ飲食店
旅行や観光には欠かせない、春日大社の近くで食事を楽しめるスポットを歴女に向けてご紹介します。
ゆうすい
「ゆうすい」は、古都奈良の趣ある伝統食を楽しめる食事処。春は緑萌える山々を、夏は青葉香る涼風、秋には真っ赤な紅葉のトンネルなど、四季折々の風景を楽しみながらのお食事を堪能できます!
水谷茶屋
ラ・テラス
「ラ・テラス」は、奈良公園の自然の中にたたずむフレンチレストランです。
奈良公園を一望できるガラス張りの店内や、豊かな自然に包まれてお食事を楽しめるテラス席など、まるでリゾートのようなロケーションは非日常感たっぷり!くつろぎと感動を届けてくれます。
春日大社近くのおすすめ宿泊施設
旅行や観光の際、春日大社にアクセスしやすいおすすめ宿泊施設をご紹介します。
古都の宿むさし野

「古都の宿むさし野」は、若草山、春日大社、東大寺へのアクセスがしやすい日本旅館です。
朝食は、古都奈良の四季折々を彩る旬の懐石の部屋食か、ピクニック用のお弁当から選べるため、天気の良い日にお弁当を選ぶと、若草山の豊かな自然を感じながら1日を始めることができますね。
松乃家旅館
「松乃家旅館」(まつのやりょかん)は、奈良公園の敷地内に位置する木造2階建ての趣ある日本旅館。地元食材を使った料理と心を尽くしたおもてなしで、ゆっくりと旅の疲れを癒すことができます。
旅籠長谷川
「旅籠長谷川」(はたごはせがわ)は、春日の森の麓にある閑静な雰囲気が魅力の日本旅館。非常にリーズナブルな宿泊プランとなっているため、旅行や観光の他、ビジネスによる長期滞在にもピッタリです!
春日大社近くのおすすめ観光スポット
春日大社へ行ったならぜひ一緒に回りたい、おすすめ観光スポットをご紹介します。
若宮神社
「若宮神社」は、春日大社の摂社・末社にあたる神社です。
良縁・夫婦和合を願って叶えられぬことなしと伝えられており、春日大社に訪れた際には一緒に巡ることが多い観光スポットとなっています。
新薬師寺
「新薬師寺」は、747年(天平19年)3月に、聖武天皇の病気平癒を祈願するため光明皇后によって創建された寺社です。
本尊の薬師如来坐像は国宝指定されており、1975年(昭和50年)の調査では、像の体内から平安初期の法華経8巻が見付かりました。
まとめ
春日大社に納められた宝物は、1250年の歴史の中で守られ続けてきたことから、非常に価値の高い貴重な文化財がほとんどです。それらは国宝352点、重要文化財971点という圧倒的な数字が表しており、宝物殿ではなく国宝殿と名付けられていることからも納得がいきます。
また刀剣や甲冑についても、他では目にすることのできない貴重な品々が揃っており、歴女、刀剣ファンにとっても特別な場所になること間違いなし!
古都奈良の歴史的情緒を感じながら、貴重な国宝や文化財を訪ねる旅などいかがでしょうか。