刀剣アニメ映画紹介 - 刀剣ワールド
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日本ではじめてアニメ映画が制作されるようになったのは、大正時代のこと。子ども達に好まれる英雄譚や冒険記、刀剣などを題材にしたアニメ映画が数多く制作されました。近年ではジャパニメーションブームが世界を席巻したことで、刀剣アニメ映画の公開本数も激増していますが、刀剣アニメ映画はいつ頃から制作され、どのような歴史をたどってきたのでしょうか。
刀剣アニメ映画の軌跡が分かる「刀剣アニメ映画」
「刀剣ワールド」には、刀剣アニメ映画を紹介する「刀剣アニメ映画」というコンテンツがあります。
刀剣アニメ映画では、主に3つの時代で刀剣アニメ映画や刀剣アニメを区分し、その時代の刀剣アニメ映画の在り方や流行したジャンルを紹介。刀剣アニメ映画のはじまりから本格的な刀剣アニメ映画の興隆と共に、その歴史が解説されています。
戦前~1960年代の刀剣アニメ映画

戦後、各家庭にテレビが普及し、テレビアニメが主役の時代となるまで、アニメーションと言えば劇場で上映されるアニメ映画のことを指しました。日本におけるアニメ映画は、大正時代前期にはじまります。
日本最古のアニメ映画は日本刀が主役
フィルムが現存する日本最古のアニメ映画は、刀剣を題材とした「塙凹内名刀之巻」(はなわへこないめいとうのまき)というタイトルの映画です。
侍である主人公が、購入した刀剣の試し切りを行う様子が描かれた数分間の無声アニメ映画で、1917年(大正6年)に「小林商会」から制作・配給されました。
制作時は「なまくら刀」という名で呼ばれ、映画内でも切れ味が悪いこと、力が弱いことなどを意味する「なまくら」な刀剣の様子が描写されています。
その後、日本では多くのおとぎ話や昔話を題材にした短編アニメーション無声映画が制作されますが、昭和時代に入ると戦争の影響から、国民の士気を上げるような国策めいた映画が制作されるようになりました。
1943年(昭和18年)には、真珠湾攻撃を桃太郎の鬼退治になぞらえたアニメ映画「桃太郎の海鷲」(ももたろうのうみわし)が海軍省の後援を受けて制作されています。
刀剣を手にした桃太郎と、それにしたがう兵卒役のイヌ、サル、キジ、ウサギが描かれました。この刀剣アニメ映画は37分間ある初の長編アニメーションとなり、また、音声付きの映画として公開されています。
日本初フルカラーの刀剣アニメ映画
1958年(昭和33年)には、日本初のフルカラーアニメ映画が制作され、「高畑勲」(たかはたいさお)や「宮崎駿」(みやざきはやお)など、のちに日本のアニメ映画を代表する作家達の興りとなりました。
長編フルカラーアニメ映画の2作目は、真田幸村(真田信繁)の忍者として知られる「猿飛佐助」(さるとびさすけ)をモデルにしたアニメ映画「少年猿飛佐助」。忍者の武器や刀剣、忍法を駆使して妖術使いと戦うもので、1960年(昭和35年)にベネチア国際児童映画祭でサンマルコ獅子賞を獲得しました。
この頃、長編フルカラーアニメ映画において、世界的大ヒットを記録したディズニー映画との差別化を図るため、アジアやイスラム世界の物語が題材に選ばれます。
なかでも、日本を舞台にしたものは「古事記」や「日本書紀」などが題材となり、不思議な力を有する刀剣が登場するアニメ映画が多数作られました。
しかし、テレビが各家庭へ普及すると、アニメ映画からテレビアニメへ大衆娯楽の中心が移行。「手塚治虫」(てづかおさむ)作品をはじめ、漫画原作のテレビアニメが爆発的な人気を博するようになると、アニメ映画はディズニー映画を独自の視点で乗り越えようと、刀剣を用いて戦う描写を取り入れることとなりました。
1980・1990年代の刀剣アニメ映画
1980~1990年代は家庭にテレビがあることが一般的で、アニメ映画よりもテレビアニメが娯楽の中心となります。1980年代後半から1990年代前半は邦画やアニメ映画の本数が激減。
そんな逆風のなかで、当時の人気ジャンルだった異世界ファンタジーや学園ファンタジーとは異なり、「もののけ姫」(1997年〔スタジオジブリ〕アニメーション制作・〔東宝〕配給)や「幕末のスパシーボ」(1997年〔マジックバス〕アニメーション制作・〔NHKエンタープライズ21〕共同制作・〔東和ビデオ〕配給)など、骨太な時代劇的世界観が描かれるようになっていきます。
OVAの普及と刀剣アニメ映画

OVAとは、オリジナル・ビデオ・アニメーションの略称で、ビデオソフトとレーザーディスクソフトでの観賞のみを前提としたパッケージ形式のもの。
OVAの流行により、一般家庭にビデオデッキが普及し、レンタルビデオ店も増加の一途をたどります。自宅でもアニメを楽しむことができるようになった他、洋画がヒットしたことで、映画館で上映されるような、刀剣アニメ映画を含むアニメ映画の本数は減少してしまいました。そんななか、ライトノベルを原作とする刀剣アニメ映画が登場し、一時期ブームとなります。
1990年代には、ジャパニメーションブームが到来。刀剣が登場するテレビアニメの数もどんどん増えたことで、刀剣アニメの映画化や、刀剣アニメと刀剣アニメ映画を連動させた作品も増加していきます。
2000年代以降の刀剣アニメ映画
1990年代後半に巻き起こったジャパニメーションブームにより、日本のアニメーションは世界的な大ブームを巻き起こします。
一方で、2000年代以降、ショッピングモール内に併設された映画館が全国的に広がり、邦画の公開数も増加。国内外を問わぬアニメブームから刀剣アニメ映画の公開数、動員数が劇的に増え、興行収入世界第1位を達成するほどの人気を誇る刀剣アニメ映画も誕生しました。
メディアミックスと漫画の映画化

2000年代以降、刀剣に限らず、テレビアニメやアニメ映画はメディアミックス化が盛んになります。
メディアミックスとは、原作となる小説やゲーム、漫画などを、舞台やアニメ、映画など、別のメディアにおいても展開すること。漫画原作のアニメ映画の割合も増加し、連載漫画やテレビアニメのオリジナルストーリーとしても公開されています。
こういったアニメ映画は子ども達が夏休みや冬休みに見る映画として公開され、日本でヒットを飛ばしている他、海外でも高い評価がされ、アメリカにおいて週間興行ランキング初登場1位という記録も残しました。
2010年代以降、重苦しい雰囲気や残酷な描写を含む世界観「ダークファンタジー」が流行。そのため、刀剣アニメ映画も刀剣を用いた重厚な戦闘シーンが描かれ、多くの人から注目を浴びるようになります。
なかでも、時代劇とダークファンタジーが合わさった世界観で展開される漫画「鬼滅の刃」が流行し、2020年(令和2年)に公開された「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(2020年〔ufotable〕アニメーション制作・〔東宝〕〔アニプレックス〕配給)は404.3億円の興行収入を記録。社会現象となるほどのブームを巻き起こします。
2001年(平成13年)に「スタジオジブリ」より公開された「千と千尋の神隠し」を抜き、日本歴代興行収入第1位を達成した他、全世界の興行収入は5億300万ドルを記録。2020年(令和2年)の年間興行収入世界第1位まで達成するほどの快挙となりました。