177_洛中洛外図屛風(舟木本)高品位複製品が販売中

皆さんは、「東京国立博物館」(東京都台東区)が所蔵する国宝「洛中洛外図屛風(舟木本)」(らくちゅうらくがいずびょうぶふなきぼん)をご存じですか?洛中洛外図屛風(舟木本)とは、京都の市中とその周辺を描いた「洛中洛外図屛風」のひとつで、滋賀県の舟木家に伝来したため、「舟木本」と呼ばれています。

「凸版印刷株式会社」(とっぱんいんさつかぶしきがいしゃ:東京都千代田区)は、この屛風の高品位複製品を開発。2020年(令和2年)7月より、一般に向けた販売もスタートしました。その価格はなんと1,000万円(税抜)! 凸版印刷株式会社が行なう文化財保護の取り組みや、高品位複製品の詳細についてご紹介していきます。

洛中洛外図屛風とは?

177_洛中洛外図屛風(舟木本)複製

国宝「洛中洛外図屛風(舟木本)」高品位複製

監修:東京国立博物館/文化財活用センター
制作:凸版印刷株式会社
原本:岩佐又兵衛筆、紙本金地着色、江戸時代・17世紀
東京国立博物館蔵

京都市中の「洛中」(らくちゅう)、そして郊外の「洛外」(らくがい)における建物や風俗、自然の様子を俯瞰的に描いた風俗図「洛中洛外図屛風」。そのほとんどが、6曲1双の屛風形式で、180図ほど現存しており、屛風の他にも、絵巻や画帖(がじょう:画集)形式の物もあります。

洛中洛外図屛風は、名所絵や四季絵など、やまと絵の伝統的な画題を取り入れて、室町時代末期に成立しました。成立から江戸時代にかけて流行し、美術品としてはもちろん、時代によって移り変わる京都の景観を捉えた史料的価値も高く評価されているのです。

東京国立博物館」(東京都台東区)が所蔵する国宝「洛中洛外図屛風(舟木本)」の他に、「米沢市上杉博物館」(山形県米沢市)が所蔵する国宝「上杉本 洛中洛外図屛風」や、「国立歴史民俗博物館」(千葉県佐倉市)が所蔵し、現存最古と目されている重要文化財
「洛中洛外図屛風 町田家本」などが有名です。

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洛中洛外図屛風(舟木本)の内容

1615年(元和元年)頃、江戸時代初期に完成したとされる、国宝 洛中洛外図屛風(舟木本)。作者は、浮世絵の祖とも称される「岩佐又兵衛」(いわさまたべえ)とされています。

岩佐又兵衛は、「織田信長」の家臣「荒木村重」(あらきむらしげ)の息子です。荒木村重は、地方豪族から立身し、織田家の重臣まで上り詰めた戦国武将ですが、突如織田信長に反旗を翻したことで、親族や家臣もろとも処刑されてしまいました。

本人は落ち延び、その後は茶人として「千利休」(せんのりきゅう)の高弟「利休七哲」(りきゅうしちてつ)のひとりに名を連ねています。岩佐又兵衛は、乳母の機転によりひっそりと生き延び、江戸初期を代表する絵師へと成長したのです。

洛中洛外図屛風(舟木本)は、一定型と言われる、上京と下京をそれぞれ東と西に描き分ける描き方を破り、左右の隻(せき:屛風本体のこと)に、ひとつの視点から捉えた京都中心部の景観を連続的に展開しています。

右端には、豊臣家の象徴と言われる「方広寺大仏殿」(ほうこうじだいぶつでん)、左端には徳川家の「二条城」、その間に、市街の街並みを配置。

右隻の上部には、桜が満開の「豊国廟」や「清水寺」などの古刹、そして鴨川や四条河原には、歌舞伎や浄瑠璃などの上演風景が描かれています。左隻では、神輿が町を進行し、南蛮人らしき姿も。全体に様々な身分、職業の総勢2500名を超える人々が登場し、京都の街で生き生きと暮らす様子が丁寧に描写されているのです。

ずっと観ていても飽きることのない、不思議な魅力が詰まった作品と言えます。

177_洛中洛外図屛風(舟木本)複製左

「洛中洛外図屛風(舟木本)」の高品位複製
(凸版印刷株式会社蔵)/左隻

177_洛中洛外図屛風(舟木本)複製右

「洛中洛外図屛風(舟木本)」の高品位複製
(凸版印刷株式会社蔵)/右隻

豊臣家の来歴をはじめ、ゆかりの武具などをご紹介します。

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凸版印刷の新技術で誕生した高品位複製って?

最新の印刷技術を活かした様々な試み

177_TNM&TOPPANミュージアムシアター

TNM&TOPPANミュージアムシアター

1900年(明治33年)に創業し、日本を代表する印刷会社のひとつ
「凸版印刷株式会社」(東京都千代田区)。様々な業種でデジタル化が進む昨今、同社では、これまで蓄積してきた印刷にまつわる膨大な技術、知識を活かすプロジェクトを多数推進しています。

例えば、1990年代から、美術館や博物館、学校、自治体、一般の企業などが持つ、史資料のデジタルアーカイブ化やデジタル復元に着手。紙資料だけでなく、美術品や建物までも、独実の技術で測量、撮影し、デジタル資料として記録しています。

また、VR(ブイアール:仮想現実)や、AR(エーアール:拡張現実)により、通常は一般公開されていない美術品や、現存していない建物などを映像で再現する事業も展開。2013年(平成25年)には、東京国立博物館と共同で運営する「TNM&TOPPANミュージアムシアター」を開設し、東京国立博物館が所蔵する貴重な美術品を中心に、VR映像による新しい美術品の鑑賞方法で紹介しています。東京国立博物館東洋館内にある同シアターでは、大スクリーンによる高精細4K映像や、ナビゲーターが案内するライブ演出が話題を集めています。

貴重な作品を身近に楽しむため、最新技術を応用

177_絵具の質感に至るまで再現

絵具の質感に至るまで再現

文化財保護や普及、研究活動にも携わる凸版印刷株式会社では、2019年(令和元年)に、本物をより忠実に再現する複製技術
「Refina Graphy」(レフィナグラフィ)を開発。特許出願中でもあるこの最新の印刷技術を駆使して、東京国立博物館の監修の下、屛風の中でも特に人気を集める国宝 洛中洛外図屛風(舟木本)の高品位複製の制作が行なわれたのです。

2013年(平成25年)にも、同様に実物大の複製品の販売が行なわれましたが、今回は和紙に洋金箔(真鍮)を貼った物で、前作の進化版として誕生したと言います。

複製品の制作では、約22億画素という高精細なデジタルアーカイブデータを使用。22億画素と聞いてもピンと来ませんが、一般に普及しているデジタルカメラが2,000万画素程度、画素数が高いカメラでも5,000万画素程度ですから、いかに高精細なデータが用いられているのかが分かります。このデジタルアーカイブデータでは、肉眼では見えにくかった図柄の詳細が判明。衣食住にいたるまで、当時の京都の暮らしがより鮮明に浮かび上がったのです。

複製にあたっては、制作当時の輝き、そして天然の鉱物を原料とした岩絵具(いわえのぐ)を再現するために、洋金箔用紙(真鍮を用いた用紙)に、密着性の高いインクなどが使用されています。描かれた時代の色を再現するカラーマネジメントも印刷会社ならでは。屛風に描かれた人々の表情や華やかな模様の細部まで正確に表現され、最新の印刷テクノロジーがその実力を存分に発揮していると言えます。

さらに、木枠や裏地、金具、留め金は、伝統的な技法による職人の手仕事が施され、美術工芸品としても極めて豪華な仕上がり! 高精細なデジタル印刷に、アナログな手法を織り交ぜることで、風格漂う高品位の複製品が完成したのです。

売上の一部は、美術品や文化財の保護などへ

国宝作品本来の美しさをリアルに再現し、職人の手仕事により美術工芸品としての価値も備わった高品位複製品は、限定10点のみ、1,000万円(税抜)で販売されています。売上の一部は、東京国立博物館の文化財保護や普及、研究活動に役立てられるそう。国宝の高品位複製品を自宅に置いて、いつでも眺めることができるとは、なんとも贅沢です。決して低価格ではありませんが、国宝の複製品を自宅に所有すると言う特別感はプライスレス!

なお、凸版印刷株式会社では、今後も国宝や重要文化財を中心に、デジタルアーカイブ化、そして高品位複製制作の取り組みを予定しています。

こうした、最新鋭の技術とアナログを組み合わせることで、貴重な美術工芸品や文化財を気軽に、そして細部まで鑑賞できる機会が増えることに、ますます期待が高まります。

【関連サイト】
織田信長 荒木村重 千利休 東京国立博物館 米沢市上杉博物館 国立歴史民俗博物館 二条城 清水寺
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